1990 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質をタ-ゲットとした子宮体癌の新たな診断法の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
02152107
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 陽一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90205493)
|
Keywords | 子宮体癌 / 細胞診 / 糖脂質 / モノクロ-ナル抗体MSNー1 / フロ-サイトメトリ- / 薄層クロマトグラフィ- |
Research Abstract |
子宮体癌は最近比率、絶対数とも増加傾向にあり、早期診断法の確立が急務となり、細胞診を中心とした検診体制の充実が「老健法」で計られている。しかし体癌は腺癌であるために診断に苦慮することが稀ではなく、細胞診の判定を下す際に役立つような補助的診断法の開発が待たれている。そこで我々は培養細胞を免疫原として作製した子宮体癌と高頻度に反応するモノクロ-ナル抗体(MSNー1)を用い、その認識抗原が細胞表面の糖脂質(血液型ルイスb物質に関連した糖鎖)であることに注目し、以下に述べる2種の方法の開発を試み若干の結果が得られた。1.子宮内膜より採取した細胞を、酵素処理により単離細胞とし、MSNー1を用いた蛍光抗体法により染色、フロ-サイトメトリ-(FCM)により測定した。その反応性をコントロ-ルとして用いたマウスIgMの反応性と比較し、陽性率を算出した。正常体内膜症例では陽性率は5%以下であったのに対し、体癌症例では82%の症例と反応した。分化度が増すにつれ、反応性が高くなる傾向が認められた。2.FCMは細胞表面に存在する抗原を検出するものであるが、細胞より糖脂質を抽出すれば直接MSNー1抗体との反応性を定量化出来る筈である。そこで、子宮体内膜細胞から抽出した糖脂質を、薄層クロマトグラフィ-上に展開し、免疫染色によるMSNー1との反応性を定量的に測定した結果、正常内膜では80%の症例で全く反応性を認めず、疑陽性率は10%に留まったが、体癌症例では79%の症例で陽性を示した。以上の検討結果から、MSNー1を用いることにより癌・非癌の鑑別に役立つ情報の得られる可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 野澤 志朗: "糖鎖抗原系マ-カ-" 産科と婦人科. 57(3). 379-391 (1990)
-
[Publications] Shiro Nozawa: "Cancerーassociated Galactosyltransferase as a new tumor marker for ovarian clear cell carcinoma" Cancer Research. 50(3). 754-759 (1990)
-
[Publications] 塚崎 克己: "子宮体癌における血液型抗原の発現異常" 病理と臨床. 8(7). 943-951 (1990)
-
[Publications] 野澤 志朗: "腫瘍マ-カ-の基礎と臨床ー婦人科領域の腺癌を中心にー" 病理と臨床,臨時増刊. 8. 321-335 (1990)
-
[Publications] 野澤 志朗: "子宮体癌補助診断の二,三の工夫" 日本臨床細胞学会東京都支部会報. 8(1). 5-7 (1990)
-
[Publications] 野澤 志朗: "子宮内膜と胎盤の糖脂質分析" 産婦人科の世界. 43(1). 31-38 (1991)