1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02202128
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安田 峯生 広島大学, 医学部, 教授 (50079688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 宣彦 労働省産業医学総合研究所, 主任研究官 (80133643)
辰巳 淳 広島大学, 医学部, 教授 (90037581)
谷村 孝 近畿大学, 医学部, 教授 (30025572)
北条 憲二 香川医科大学, 医学部, 教授 (90046863)
樫本 隆 摂南大学, 薬学部, 教授 (50158838)
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Keywords | ダイオキシン / ダイベンゾフラン / 発生毒性 / 免疫毒性 / 代謝 / 生体内動態 / アスベスト / 癌原性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ダイオキシン類やアスベストのような,人体に対して有害な物質で,環境中への放出が規制されたり,生産が停止されても分解されずに環境中に長期に残留する物質の人体への影響を明らかにすることにある.以下に各分担研究者の研究実績の一部を紹介する. 2,3,7,8四塩化ジベンゾパラジオキシン(以下TCDD)はマウスで口蓋裂を誘発するが,妊娠7〜9日のJcl:ICRマウスに塩化カドミウムを投与し,外脳を誘発しておくと,妊娠12日にTCDDを投与しても,口蓋裂は全く誘発されなかった(安田).種々のポリ塩化ジベンゾジオキシン(以下PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(以下PCDF)を16.5日齢のニワトリ胚の気室内に投与し,生体内分布を調べたところ,塩素数によりかなり相違した生体内挙動を示すことが明らかとなった(樫本).胸腺上皮細胞株を樹立し,TCDD添加培養液中で培養すると,細胞数の減少,細胞質の狭小化,敷石状配列の解離,細胞質空胞化,核周囲微細脂質果粒の増加・集合などの障害を示唆する変化が観察された(北条).卵割初期から摂餌開始前までのアフリカツメガエルを用いてのTCDDの発生毒性の検索では,100〜200ppbの濃度に暴露すると,幼生の死亡率や,生存幼生の異常発生率が上昇した.異常は頭,胸,腹部の浮腫が特徴的であった(谷村).難分解性発癌性芳香族アミンの活性化機構をイヌで検索したところ,糞尿中代謝物として排泄されるNーホルミル体はイヌ肝臓のホルムアミダ-ゼ及び腸内細菌によって生成されるのに対し,Nーアセチル体は腸内細菌のみにより生成されるのが明らかになった(辰巳).石綿肺,肺癌,中皮腫で死亡した症例のアスベストを分析電子顕微鏡で定量したところ,アモサイトに比べてクリソタイルの高い体内移動性が判明した(神山).分析電子顕微鏡により,石綿肺症例では対照に比べて多くのアモサイト,クリソタイルが肺内より検出された(森永).
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Research Products
(19 results)
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[Publications] Yasuda,M.他: "Pathogenesis of dioxinーinduced cleft palate and hydronephrosis in mice." Dioxin 90. 4. 149-150 (1990)
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[Publications] Yasuda,M.他: "Modification of teratogenicity of dioxin in mice with steroid hormones." Congenital Anomalies. 30. 259 (1990)
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[Publications] 安田 峯生他: "シンポジウム:有機塩素系の健康影響評価.はじめに." 環境科学会1990年会講演要旨集. 190-191 (1990)
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[Publications] 安田 峯生他: "有機塩素化合物の健康影響評価.ダイオキシンなど." 環境科学会誌. 4. (1991)
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[Publications] Yasuda,M.他: "Exencephalic mouse fetuses are resistant to cleft palate induction with 2,3,7,8ーTetrachlorodibenzoーpーdioxin(TCDD)." Teratology. 43. (1991)
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[Publications] Huang,C.ーW.他: "Levels of PCBs,PCDDs and PCDFs in soil samples from incineration sites for metal reclamation." Dioxin 90. 1. 537-540 (1990)
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[Publications] 樫本 隆他: "シンポジウム:有機塩素系の健康影響評価.人体汚染と毒性評価." 環境科学会1990年会講演要旨集. 194-195 (1990)
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[Publications] Hiramine,C.他: "Establishment of a murine thymic epithelial cell line capable of inducing both thymic nurse cell formation and thymocyte apoptosis." Laboratory Investigation. 62. 41-54 (1990)
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[Publications] 北条 憲二他: "シンポジウム:有機塩素系の健康影響評価.2,3,7,8ーTCDDの免疫毒性:胸腺萎縮の機序に関する研究." 環境科学会1990年会講演要旨集. 198-199 (1990)
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[Publications] 平峯 千春他: "マウス胸腺上皮細胞株に及ぼす2,3,7,8ーTCDDの影響" 環境科学会1990年会講演要旨集. 32 (1990)
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[Publications] 小瀬戸 昌博他: "2,3,7,8ーTCDDの免疫毒性:新生仔マウス胸腺リンパ球に及ぼす影響." 環境科学会1990年会講演要旨集. 33 (1990)
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[Publications] 美馬 信他: "アフリカツメガエル胚および幼生を用いるTCDDの発生毒性の検索." 環境科学会1990年会講演要旨集. 31 (1990)
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[Publications] Kitamura,S.他: "Purification of NADPHーlinked α,βーketoalkane double bond reductase from rat liver." Archives of Biochemistry and Biophysics. 282. 183-187 (1990)
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[Publications] 辰巳 淳他: "イヌにおける発癌性芳香族アミンの代謝." 環境科学会1990年会講演要旨集. 111 (1990)
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[Publications] Kohyama,N.他: "Asbestos in the lung parenchyme,pleural plaque and mesothelioma tissues of North American insulation workers." Annals of New York Academy of Sciences. (1991)
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[Publications] Suzuki,Y.他: "Translocation of inhaled asbestos fibers from the lung to other organs." American Journal of Industrial Medicine. (1991)
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[Publications] 森永 謙二他: "石綿肺患者の予後に関する研究." 日本災害医学会会誌. 38. 647-652 (1990)
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[Publications] 森永 謙二他: "石綿工場従業員の20年間の追跡調査." 産業医学. 32. 265-268 (1990)
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[Publications] 森田 昌敏他: "ダイオキシン汚染問題解決への展望" 工業技術会, 150 (1991)