1990 Fiscal Year Annual Research Report
人為起原物質による生態系撹乱のリスク評価における公衆衛生学的諸因子の役割
Project/Area Number |
02202215
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 千史 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (60154069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 桂子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00211433)
高野 健人 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80126234)
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Keywords | リスキ評価 / 健康指標 / 地域指標 / 工業地域 / 工業化 |
Research Abstract |
人間の健康は環境諸条件への適応の諸相を反映している。生態系撹乱は直接的、また間接的に人間の健康水準を左右する。この生態系撹乱による健康リスクは,健康決定要素(居住環境,医療など)に対する公衆衛生活動の働きかけによって多分に修飾されるものと考えられる。そこで人為超源物質,生態系撹乱,リスク,公衆衛生学的諸要因の相互関係を明らかにする自的で,健康諸指標の地域差比較,時代差比較に主眼をおいて検討した。 〔方法〕 京浜工業地帯ならびに京葉工業地帯に焦点をあて,神奈川県からは横浜市,川崎市をはじめ16市,14町,1村また千葉県から19市,9町,2村について,市区町村別の様々の健康指標ならびに社会指標を経年的に比較検討した。 〔結果〕 (1)訂正死亡率:京浜工業地帯における男性死亡率は東京圏全体値を上回っており,女性,乳児ではそのような傾向はみられなかった。労働環境,労働条件に起因する要因による男性過剰死亡をうかがわせた。 (2)死因別死亡率:京浜工業地帯ではガンによる死亡が全国レベルを上回っているが,京葉工業地帯では逆に低い傾向にあった。東京圏におけるガン死亡は、都市化現象を示す社会指標と関連が示唆されるため、歴史が古く工業地域の中に市街化が進んだ混在型京浜工業地帯と,臨海工業地帯の発達に対して区画化をはっきりさせて住宅地を開発した分離型京葉工業地帯の差があらわれたと考えられた。 〔まとめ〕環境におけるリスク評価のためには健康影響を鋭敏に把握するための健康諸指標を開発しなければならないものと考えられた。
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