1990 Fiscal Year Annual Research Report
太陽紫外線によってヒト皮膚細胞に誘発された突然変異の解析
Project/Area Number |
02202229
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石崎 寛治 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (70111987)
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Keywords | 太陽紫外線 / 突然変異 / PCR / 色素性乾皮症 |
Research Abstract |
本研究ではヒト皮膚細胞における太陽紫外線誘発突然変異の有無やその性質について知るために、紫外線に高感受性で日光曝露部に皮膚癌の多発する色素性乾皮症患者の皮膚癌組織における突然変異について解析を試みた。 方法:色素性乾皮症患者の皮膚癌組織はホルマリン固定されパラフィン包埋の状態で保存されているものを、大阪大学医学部皮膚科より14例、京都大学医学部皮膚科より12例供与され本研究に用いた。これらの組織ブロックより5μm厚の薄切片を切り出し、微量遠心管にいれキシレンおよびエタノ-ルで洗浄し組織内外のパラフィンを除いた。PCR(Polymerase Chain Reaction)法によりHーras遺伝子の12、13番目のコドンおよび61番目のコドンを含むDNA断片をそれぞれ増幅させ、ナイロンフィルタ-上にスポットし固定した。Hーras遺伝子の12、13、61番目のコドンにおける野生型、突然変異型アミノ酸配列に対応するDNAシ-クエンスと相補的シ-クエンスを持つオリゴヌクレオチドを ^<32>Pでラベルしたものをプロ-ブにしてハイブリダイゼ-ションを行った。 結果:野生型プロ-ブに対しては全ての皮膚癌組織からのDNAがハイブリダイゼ-ションを示したが、突然変異型プロ-ブに対しては、コントロ-ルとして用いた突然変異型Hーras遺伝子を持つことが知られている培養癌細胞のDNA以外は有意なハイブリダイゼ-ションを示さなかった。すなわち、ここで調べた色素性乾皮症患者の皮膚癌組織ではHーras遺伝子の12、13、61番目のコドンには突然変異は生じていないと結論される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Ishizaki,M.Oshimura,M.S.Sasaki,Y.Nakamura,and M.Ikenaga.: "Human chromosome 9 can complement UV sensitivity of xeroderma pigmentosum group A cells." Mutation Research,. 235. 209-215 (1990)