1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02203218
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
太田 健一郎 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (30011216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 信行 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (10017965)
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Keywords | 溶融炭酸塩型燃料電池 / 高温腐食 / ニッケル / ヒ-トサイクル / 高耐食性材料 / 放物線速度則 |
Research Abstract |
溶融炭酸塩型燃料電池の開発に材料腐食は避けられない問題であり、装置の性質上ヒ-トサイクルの効果は重要である。本年度は電池構成材料に広く用いられている元素であるニッケルを取り挙げ、溶融炭酸塩共存下での高温腐食速度を定常状態下、ヒ-トサイクル下熱天秤で測定し、表面を走査電子顕微鏡で観察した。それぞれの機構を解明、比較した。 1.ニッケルに塗布した溶融塩量による影響:Li_2(CO)_3の場合初期から重量増加は放物線則に従い、6mg/cm^2の塗布量で最大となった。(Li_<0.62>K_<0.38>)_2CO_3の場合、反応開始後40時間は3乗則に、それ以後放物線則に従った。15時間反応時の重量増加は3mg/cm^2の塗布量で最大であった。 2.ニッケル高温腐食の温度依存性:(Li_<0.62>K_<0.38>)_2CO_3を35mg/cm^2ニッケルに塗布し、温度を923Kから1073Kまで変化させて、高温腐食を行なった。いずれの場合も反応初期を除き放物線則が成り立ち、放物線則速度定数の活性化エネルギ-は負になった。この特異現象の原因に酸化ニッケルの溶融炭酸塩への溶解度の関与が示唆された。 3.ヒ-トサイクルの影響:(Li_<0.62>K_<0.38>)_2CO_3を51mg/cm^2塗布したニッケル試料を昇温速度40K/分で1073Kまで上げて2時間保持した後、放冷し試料温度が443Kになったところで再び40K/分で加熱するサイクルを20回繰り返した。この場合の重量増加速度は、連続定常加熱の場合に比して放物線則速度定数が2.5倍大きくなった。すなわち、ヒ-トサイクルは高温腐食を促進する。原因として、サンプル表面の熱収縮の不均一性によるひび割れ等が挙げられる。今後ヒ-トサイクルの上限下限温度、上昇下降速度、サイクル数の影響等に研究を進めていく方針である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Mitsushima,N.Kamiya,K.Ota: "Corrosion of Iron by Li_2CO_3 Melt at 1073K." Journal of Electrochemical Society. 137. 2713-2716 (1990)
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[Publications] 金 白云・神谷 信行・太田 健一郎: "溶融炭酸塩中におけるNiの腐食(1)" 第57回電気化学協会大会要旨集. 276-276 (1990)
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[Publications] 金 白云・神谷 信行・太田 健一郎: "溶融炭酸塩中におけるNiの腐食(2)" 第31回電池討論会講演要旨集. 197-198 (1990)