1990 Fiscal Year Annual Research Report
小規模フィ-ルド実験による能動的地熱抽出効率に関する研究
Project/Area Number |
02203240
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江原 幸雄 九州大学, 工学部, 教授 (10002346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 透 九州大学, 工学部, 助手 (80182161)
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Keywords | 地熱エネルギ- / 熱抽出 / 熱交換器 / 火山エネルギ- / 地熱直接利用 / 地熱発電 |
Research Abstract |
地下抽熱層から熱抽出効率を推定するため、フィ-ルド実験により抽熱層の有効熱伝導率を決定した。熱抽出実験を行うため、外径33mm,長さ1mの同軸熱交換器を製作した。実験システム水循環系・熱交換系・デ-タ収録系から構成されている。まず予備実験として実験室内においてモデル噴気井を利用して抽熱実験を行い、この室内実験の結果を参考にして、フィ-ルド実験を計画した。実験は大分県九重地域にある八丁原地熱発電所近くの自然噴気地帯小松地獄で行った。フィ-ルド実験は熱伝導が卓越する地点(サイト1および4)、熱水による熱輸送が卓越する地点(サイト2)および噴気による熱輸送が卓越する地点(サイト3)の4カ所で行った。その結果、有効熱伝導率としてサイト1では1.58W/mK(以下単位は同じ)、サイト4では1.62、サイト2では2.69、そしてサイト3では2.49という値が得られた。これらの値は別に測定された抽熱層の純粋熱伝導率(0.82ー0.88W/mK)の1.5ー3.5倍程度であることが明らかにされた。このようにして求められる抽熱層の有効熱伝導率は人工的に熱抽出を行う場合、抽熱量を予測する上で極めて有用となる。ただ、ここで得られた値をそのまま深部の状態に適用するには問題があるがハワイ・キラウエア火山の溶岩湖の実験も参考にすると、地層中に流体が存在する場合、有効熱伝導率は純粋熱伝導率に比べ、数倍程度に増加するものと考えられる。さらに、熱交換器の表面から単位時間・単位面積当りに流入する熱量分本実験地(自然噴気地で地表下1m深で100℃程度)の場合数KW/m^2のオ-ダ-であり、これはハワイ・キラウエア火山溶岩湖において得られた15ー50KW/m^2に相当するものである。本実験の場合1ケタ程度小さい値が得られているが対象温度の違いによるものと考えられる。
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