1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02203244
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
羽坂 雅之 長崎大学, 工学部, 教授 (30039698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 休男 長崎大学, 工学部, 助教授 (50039690)
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Keywords | 熱電変換 / 鉄ケイ化物 / 熱電能 / エネルギ-変換 / 液体急冷 |
Research Abstract |
本研究では熱電発電性能の高い鉄ケイ化物を開発することを目標として、先ず、スピンキャスト法、包析・共析温度付近での熱サイクル処理法、等温処理法、蒸着法により、9at%までのBを含むFeSi_<1822>を作製した。つぎに作製したこれら鉄ケイ化物の熱起電力、電気抵抗、磁化率の測定と、X線回析実験、走査電子顕微鏡観察を行うことにより、熱電発電特性と組織構造を調べた。得られた結果は次の通りである。1.スピンキャストを行うことによってリボン状の鉄ケイ化物を作製し、780℃で等温処理した場合、β相が微細な棒状組織をつくり、ε相と共存した。熱起電力は約400℃の温度差まで増加した後、それ以上の温度差ではほとんど一定であった。熱起電力の最大値は3at%B、32at%Fe、65at%Si付近の組成で得られた。一方、電気抵抗はB濃度の増加に伴って減少し、0at%BではSi濃度の増加とともに増加するのに対して、3〜9at%BではSiとFeの原子数比が2において大きくなった。2.高周波溶解により塊状の鉄ケイ化物を作製し、包析・共析温度の上下で1日50回の熱サイクル処理を施した後、780℃で等温処理した場合、β相と少量のε相とが共存した。熱起電力はB濃度の増加に伴って減少し、Si濃度の増加に伴って増加した。高周波溶解により塊状の鉄ケイ化物を作製し、780℃で等温処理した場合、素地のβ相と少量の球状β相とが共存した。熱起電力はSi濃度の増加に伴って増加し、B濃度の増加に伴って減少後増加した。熱起電力はこれらの場合にも約400℃の温度差まで増加し、それ以上の温度差ではほとんど一定であった。高周波溶解により塊状の鉄ケイ化物を作製し、黒鉛ヒ-タ上で通電加熱することによってAl_2O_3基板に蒸着した後、780℃で等温処理した場合、熱起電力は他の方法で作製した場合よりも小さいままであった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 近藤 慎一郎: "FeSi_2系熱電材料の構造と磁性" 日本物理学会九州支部96回講演会予稿集. 89-90 (1990)
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[Publications] 羽坂 雅之: "鉄ケイ化物の熱電性能に及ぼす因子" エネルギ-変換技術文部省科学研究費補助金重点領域研究平成2年度研究成果報告書C. 311-318 (1991)
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[Publications] 羽坂 雅之: "FeSi_2液体急冷薄膜の熱電特性" 日本金属学会春季大会概要. (1991)
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[Publications] 岩瀬 健弘: "FeSi_2系合金の熱電特性に及ぼすホウ素の効果" 日本金属学会春季大会概要. (1991)