1990 Fiscal Year Annual Research Report
構造制御をめざした時間分解蛍光偏光解消法によるLB膜の動的構造評価
Project/Area Number |
02205004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武笠 幸一 北海道大学, 工学部, 教授 (00001280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒磯 恒久 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (30151145)
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Keywords | LB膜 / 時間分解蛍光偏光解消法 / 動的構造解析 / 構造制御 |
Research Abstract |
LB膜を機能素子として実現するためには、膜構成分子の静的構造ばかりでなく、その動的挙動についての知見も不可欠となろう。しかし膜構成分子の運動はナノ-ピコ秒の時間領域で起こり、現在その測定法は確立していない。本研究では、ナノ秒領域における時間分解蛍光偏光解消法を適用し、平面上に配向した分子の配向角と分子の揺らぎの角度(揺動角)および揺らぎの速度(揺動拡散速度)を測定する方法を、実験・理論両面から確立することを目的とした。 従来リポソ-ム(リン脂質二重膜による小胞)のような等方的な対象とした時間分解蛍光偏光解消法の理論を修正し、基板上に一軸に配向した系に対する理論の構築をすすめた。 我々は棒状蛍光プロ-ブ1.6ーdiphenylー1,3,5ーhexatriene(DPH)を含むステアリン酸を石英基板上に3層に累積したLB膜を作製し、蛍光偏光解消法を適用した。測定に使用した時間分解蛍光計では励起パルス光源として水素放電管を用い、検出装置として時間相関ー光計数計を用いた。実験の結果に対し新たに修正・構築した解析理論を適用して、室温においてステアリン酸LB膜中のDHPの配向角が13°、揺動角が7°であることが結論づけられた。リポゾ-ム系での実験事実からDHPの揺動角は周囲の脂質鎖の揺動角に等しいことが知られているので、これらの角度はLB膜を構成するステアリン酸の脂質鎖の挙動をあらわすものと考えられる。 今後の計画としては、測定精度を向上させるためにピコ秒時間分解蛍光偏光解消測定法を確立し、さらに顕微分光を組み合わせることにより空間分解能をも向上させる。これによって薄膜の構造の不均一性を定量的に解析し、機能性薄膜の製膜条件を見いだす。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Naohito Kimura et al.: "Fluorescence Depolarization by Oriented and Wobbled Molecules in LangmurーBlogett Film" Chem.and Phys.of Lipids. 57. (1991)
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[Publications] 木村 尚仁 他: "時間分解螢光偏光解消法によるLB膜分子の揺動運動の測定" 北大工学部研究報告. 153. 103-107 (1990)
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[Publications] Tunehisa Araiso et al.: "Analysis for the Molecular Motion of Phospholipid Bilayer with Picosecond Fluorometry" Biorheology. 27. 357-387 (1990)
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[Publications] A.Miyamoto et al.: "Membrane Viscosity Correlates with α_1ーAdrenergic Signal Transduction of the Aged RatCerebral Cortex" Journal of Neurochemistry. 55. 70-75 (1990)
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[Publications] 荒磯 恒久他: "超短パルスレ-ザを用いた生体膜の解析" 病態生理. 9. 637-646 (1990)
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[Publications] H.Saito et al.: "Dynamics of BilayerーWater Interface of Phospholipid Vesicles and Effect of Cholesterol.A Picosecond Fluorescence Anisotoropy Study" J.Biochem.(Tokyo). (1991)