1990 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型を示す野生遺伝子を導入した疾患モデルマウスの発生遺伝学的研究
Project/Area Number |
02206208
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
渡辺 智正 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 室長 (10100174)
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Keywords | マウス / DNA多型 / RFLP / 野生集団 / 自己免疫疾患遺伝子 / 水頭症 / 染色体マッピング / バッククロス群 |
Research Abstract |
マウスは哺乳類の中で最も遺伝学的研究の進んだ動物であるが、実験用近交系マウスの起源は比較的小さな集団から出発したと推定されているので、変異遺伝子プ-ルはそれほど多くないと考えられている。そこで野生マウス集団から新たな変異遺伝子を検出する試みが重要な課題となってくる。とくに最近、遺伝子工学技術の進展により、制限酵素切断によるDNA多型(RFLP)の検出の報告が著しく増加している。実験用マウスと野生マウス集団とは遺伝的距離が大きく、両者間で容易にDNA多型が検出される。欧米ではスペイン産由来の野生マウスが用いられているが、私たちは日本産野生マウス由来の系統を用いている。それらのF_1の実験用マウスへのバッククロス群は、DNA多型を示す遺伝子を染色体マッピングする方法として最も優れた系となっている。これをinterspecific backcrossと呼ぶ。私たちは、すでに第8染色体上の水頭症を引起こす疾患遺伝子hyー3の近傍にキモトリプシン遺伝子があることをマッピングし、そのDNA多型を用いて発生遺伝学的研究を行ってきた。今回、さらにマウス染色体の中で最も小さな第19染色体について、interspecific backcrossによる遺伝子マッピングを進めた。DNA多型検出のために用いた遺伝子のプロ-ブは、8番地にあるLyー44(lymphocyte antigenー44)と29番地にあるTdt(terminal deoxycytidyl transferase)であった。Lyー44はBglIIで、TdtはBamHIでDNA多型が観察された。第19染色体の遺伝子マッピングの系を用いて、異常リンパ球の増殖、壊死性血管炎、亜急性増殖性糸球体腎炎などを自然発症する自己免疫疾患MRLマウスの原因遺伝子lprが23番地にあることが明らかにされた。Tdt遺伝子も、免疫とくにリンパ球の分化にかかわると考えられている。この近傍には免疫関係の遺伝子が多く存在するのかもしれない。また将来lpr遺伝子がクロ-ニングされる可能性がでてきた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Watanabe,T.,Shimizu,A.,Ohno,K.,Masaki,S.and Kondo,K.: "Restriction fragment length variations and chromosome mapping of two mouse metallothionein genes,<Mtー1>___ー and <Mtー2>___ー." Biochemical Genetics. 27. 689-697 (1989)
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[Publications] Watanabe,T.,Ohno,K.,Shimizu,A.,Sakai,Y.,Takahashi,M.and Takahashi,N.: "Mapping of the <Hoxー3.1>___ー and <Mycー1.2>___ー genes on chromosome 15 of the mouse by restriction fragment length variations." Biochemical Genetics. 28. 257-266 (1990)
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[Publications] Masaki,S.and Watanabe,T.: "Linkage analysis of the mutation locus in the eye lens obsolescence (<Elo>___ー) mouse." Genomics. 5. 259-263 (1990)