1990 Fiscal Year Annual Research Report
比較の手法によるイスラ-ムの都市性の総合的研究.評価作業
Project/Area Number |
02207121
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
藤本 勝次 関西大学, 文学部, 教授 (60067387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牟田口 義郎 成蹊大学, 文学部, 教授 (30157721)
田村 明 法政大学, 法学部, 教授 (70147883)
山田 慶兒 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10027542)
大野 盛雄 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (90012963)
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Keywords | イスラム都市 / イスラム都市の研究史 |
Research Abstract |
本重点領域研究は百数十名の研究者が参加した膨大な研究会であるが、特にイスラムに関する研究に携わる者のほかに,従来イスラムに関係のなかった多くの研究者を,それぞれの専門分野によって共同研究の形で加えていることが特色となっている。イスラムの研究者も他の分野の研究者も,この重点領域研究を通じて互いに刺戦し合い,従来とは違った広い視野でもつて貴重な成果をあげてきたことは大いに評価できる。この共同研究の方法が,都市性のみならず将来のイスラム全般の研究をさらに広い中東の地域研究の方向と方法を示唆するものと考えられる。 評価作業班としては,各班の研究会に積極的に参加し、可能な範囲で助言と問題の提言を行なってきた。特に2つの提言を進めてきたが,その1つはヨ-ロッパの学者による「イスラム都市の研究史」を整理・検討することの必要性であった。イスラムが宗教・文化の綜合体としてどのような都市的性格を持つのかという問題は,さらに将来の研究課題として残るものであるが,とりあえずイスラム都市の特色そのものの研究から始めるよう提言した。この「イスラム都市の研究史」は近日中に刊行される予定である。第2の問題は,前記の研究過程から生じたもので,ムスリム自身がイスラム都市をどのように考えているかということであった。この研究作業の1つ としてアラブ人研究者ベシ-ム・セリム・ハキ-ム氏の「イスラム都市」(1986)が去年の12月に佐藤次高監訳で出版された。この書の特色は,イスラム都市がイスラム法をガイドラインとして町づくりされていることを指摘したことである。しかし,イスラム法上の街路や家屋の規定が,現実に効力をもっていたか否かについては,さらに実証的検討が必要である。今後の研究に待つところが大きい。
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