暗黒物質探索のための単原子メ-ザ-法による超高感度マイクロ波検出装置

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02211208
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 松木 征史 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (50037941)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 福田 行男 神戸大学, 教養部, 助教授 (40025482)
• Keywords: 暗黒物質 / リュドベルク原子 / レ-ザ-分光 / マイクロ波検出 / アクシォン

Research Abstract

暗黒物質の有力な候補として考えられているアクシオンを,高磁場中でマイクロ波に変換し,リュドベルグ原子を空洞中に通過させて転換マイクロ波を超高感度で検出しようとするものである。レ-ザ-光によりアルカリ原子ビ-ムをリュドベルク状態に励起し,液体ヘリウム3で冷却された超電導空洞に通し,転換マイクロ波を吸収した原子のみ選択的に検出する装置系を開発する
前年度までに主な装置系の各部をそれぞれ製作したが,今年度はそれらを結合し,全体を動作させると共に,マイクロコンピュ-タを利用して全系の制御を行なうこと,また測定の自動化を行なうことを試みた。これについてはほぼ当初の目標に達する段階にまで来ており,最終的な調整に入っているところである。
上記の目的のためには,超高感度マイクロ波検出装置系と共に,高磁場発生装置とアクシオンを転換するための変換用空洞が必要である。本年度では,この本来の目的のために,どの程度の感度が最終的に得られるかを,実験で調べるのと同時に,理論的にも研究した。この結果,10mK程度まで冷却した空洞を用いれば十分な感度で,現実的な時間内にアクシォンの探索が,この方法で可能であることが分かった。またこの本来の空洞及び高磁場を用いる方法に較べて感度は落ちるが,原子の微細構造により分離した準位間の遷移をアクシォンの吸収により起こさせることにより,磁場を用いなくてもアクシォン探索が可能であることを見出した。この磁場を用いない方法で,現在アクシォン探索を行ない,アクシォンと電子との相互作用定数の限界値を実験により決定することを計画している。

Research Products

• [Publications] S.Matsuki and Y.Fukuda: "A Scheme to search for cosmlc axions by single photon counting with Rydberg atoms" submitled to Physical Reiew Letters.
• [Publications] S.Matsuki and K.Yamamoto: "Direct detection of galactic axions with Rydberg atoms in an in hibited cauity regime" submitled to Physis Letters.