1990 Fiscal Year Annual Research Report
電子状態制御による特定ラジカルの生成と固体表面反応機構に関する量子化学的研究
Project/Area Number |
02214204
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
津田 穣 千葉大学, 薬学部, 助教授 (90009506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笈川 節子 千葉大学, 薬学部, 助手 (60101359)
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Keywords | シランプラズマ / ジシランプラズマ / ab inition分子軌道法 / 反応素過程 / 反応機構 / シリコン表面活性化 / 薄膜成長 |
Research Abstract |
本研究は、シランプラズマ中に発生する種々のラジカル種の生成素過程を量子化学的計算によって明らかにすることによって、ラジカル活性種の起源となる分子の電子状態を決定し、特定ラジカルの選択的生成のための基礎的デ-タを得ると共に、生成した活性ラジカル種とシリコン表面との相互作用ならびにその結果生ずる表面反応のメカニズムを量子化学的方法によって明らかにしようとするものである。 今年度は、最終年度であるので、これまでの成果をもとに、『プラズマにより生成した活性ラジカル種とシリコン表面との相互作用ならびにその結果生ずる表面反応のメカニズム』の解明を目的として、シリコン表面を表すモデル化合物として、Si原子が4つ連なった分子を考え、関連する反応素過程についてのポテンシャルエネルギ-変化をab initio SCF MO法により求める研究を行った。その結果、(1)アルモファスシリコン膜表面の活性化は、表層のシリレン鎖上の同一Si原子からの水素分子脱離により起こること、(2)水素脱離後生成するシリレンは、隣接したSi原子の水素があると、その水素が転移しジシレン構造を作ること、(3)このジシレン構造にはシリルラジカルは反応するが、シランは反応しないことがらかった。これらの結果を実験条件にあてはめて考えると、反応場である基板表面温度の高低によって表面層成長に関与できる反応種が限定されること、即ち、プラズマ成長反応と熱成長反応との相違が、表面活性化反応の相違として明確に示せることがわかった。 以上のように、シラン系プラズマ中での膜成長過程の特質について重要な知見を得ることができ、本研究計画の目的は十分に達成されたと考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 津田 穣、笈川 節子: "aーSi:H成長表面の反応素過程I.水素脱離機構" 第37回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. 2. 729-729 (1990)
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[Publications] 津田 穣、笈川 節子: "aーSi:H成長表面の反応素過程II.水素転移機構" 第51回応用物理学会学術講演会講演予稿集1. 1. 33-33 (1990)
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[Publications] 津田 穣、笈川 節子: "aーSi:H成長表面の反応素過程III.成長表面温度と反応メカニズムの関係" 第51回応用物理学会学術講演会講演予稿集. 1. 34-34 (1990)
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[Publications] 津田 穣、笈川 節子: "aーSi:H成長表面の反応素過程IV.隣接鎖間の水素脱離機構" 第38回応用物理学関係連合議演会講演予稿集. 1. (1991)
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[Publications] 津田 穣、笈川 節子: "表面反応素過程と膜成長機構" 第38回応用物理学関係連合議演会講演予稿集. 1. (1991)