1990 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルプロ-ブ法によるプラズマ重合系の電子温度と重合膜特性に関する研究
Project/Area Number |
02214231
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
原口 俊秀 北九州工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (00038598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西宮 康二 北九州工業高等専門学校, 化学工学科, 助手 (10208209)
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Keywords | ダブルプロ-ブ法 / プラズマ重合 / 電子温度 / 極小点 / 高分子膜 / 膜構造 / ヘキサメチルジシロキサン / ヘキサフロロベンゼン |
Research Abstract |
ダブルプロ-ブ法を用いてプラズマ重合系の見かけの電子温度をリアルタイムで測定した。測定に際しては内部にシ-スヒ-タを有する2本のニッケルパイプ(外径1mm,長さ10mm)をプロ-ブとして用い,シ-スヒ-タの加熱によりプロ-ブ表面への絶縁性重合膜の堆積を防止した。また、白金パイプ(外径2mm,長さ20mm)をプロ-ブとし,ヒ-タごとパイレックスガラスに封入した密封型プロ-ブセンサ-を新たに開発した。プラズマガスとしてはアルゴン,ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)およびヘキサフロロベンゼン(HFB)を用いた。電子温度はプラズマ状態を直接反映するものであるが,HMDSプラズマ中の電子温度の経時変化から,反応性プラズマの定常状態に達するまでに要する時間は約20分であることがわかった。放電出力と電子温度の関係から,重合性プラズマにおいては放電出力に対して電子温度の極小点が観察されることがわかった。走査電子顕微鏡によるHFBの重合膜表面の観察から,極小点付近の条件下で作製されたプラズマ重合膜は表面が非常に滑らかであったが,その点から低出力および高出力側に大きくずれた条件下で得られた膜の表面はかなり粗いものであった。また,FTーIRによる表面分析の結果は極小点付近で得られた重合膜にはかなりモノマ-の構造が残っていることを示した。そして,その極小点付近で得られた重合膜は他の条件下で得られた膜に比べかなり高い酸素の選択透過性を示した。これらの実験結果は電子温度がプラズマ状態のモニタ-に有効であり,重合性プラズマに見られる電子温度の極小点は重合物の堆積と脱離のバランスのとれた状態であり,重合膜構造を制御するためのキ-ポイントになり得ることを示唆するものである。
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[Publications] Toshihide Haraguchi: "Gas separation properties of doubleーlayer membranes plasmaーpolymerized from siloxane compounds and perfluorocarbons" Proceedings of ICOM'90(Chicago). 1. 445-447 (1990)
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[Publications] Toshihide Haraguchi: "Immobilization of Glucoamylase by Plasmaーinitiated Polymerization and Evaluation of Enzyme Activity" J.of Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symposium. 46. 385-397 (1990)
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[Publications] 原口 俊秀: "プラズマ開始重合による架橋性ポリアクリルアミドゲルの合成とその応用" 第39回高分子討論会予稿集. 39. 2938-2940 (1990)
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[Publications] 西宮 康二: "プラズマグラフト重合による固体表面の機能化" 第39回高分子討論会予稿集. 39. 2929-2931 (1990)
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[Publications] 原口 俊秀: "プラズマ重合膜の凝集構造と気体透過性に対する重合温度の影響" 化学工学会大分大会要旨集. 292-293 (1990)
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[Publications] 畑中 千秋: "プラズマ開始重合法によるリパ-ゼの固定化とその活性評価" 化学工学会大分大会要旨集. 224-225 (1990)
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[Publications] 井手 俊輔: "プラズマ重合によるアミド樹脂の金属イオン吸着特性" 北九州高専研究報告. 24. 165-172 (1991)
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[Publications] 畑中 千秋: "リパ-ゼによるエステル交換反応に関する研究" 北九州高専研究報告. 24. 123-128 (1991)
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[Publications] 西宮 康二: "プラズマグラフト重合による材料表面の改貭" 北九州高専研究報告. 24. 139-144 (1991)
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[Publications] 畑中 千秋: "プラズマ開始重合によるグルコアミラ-ゼの包括固定化とそのバイオリアクタ-への応用" 化学工学論文集.
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[Publications] 井手 俊輔: "プラズマ開始重合により合成したポリアクリルアミドによる金属イオンの吸.脱着及び濃縮" 石油学会論文誌.