1990 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリの卵巣分化過程で発現するPー450遺伝子群の構造と機能の研究
Project/Area Number |
02217201
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西森 克彦 東北大学, 農学部, 助教授 (10164609)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 重樹 東北大学, 農学部, 教授 (90112903)
|
Keywords | チトクロ-ムP450 / Pー450c17 / Pー450arom / アロマタ-ゼ / 性分化 / 生殖腺分化 / 胚発生 / ニワトリ |
Research Abstract |
孵化直後のニワトリ左卵巣より調製したcDNAライブラリ-より見出したR450c17cDNAはその塩基配列より推測されるアミノ酸配列がヒト、ウシ、ラットなどのPー450c17と高い相同性を示した。このPー450c17cDNAを高発現ベクタ-であるpCDーSRα296に挿入し、cos7細胞に導入したところ,プロゲステロン,及びプレグネノロンに対するCー17ハイドロキシラ-ゼ活性,そして17αーOHプロゲステロン,及び17αーOHプレグネノロンに対する17,20ーリア-ゼ活性を示すことが確認された。M.WatermanらがウシPー450c17cDNAを用いて行なった実験結果と比較して,17αーヒドロキシラ-ゼ活性は弱く,又プロゲステロンに対する反応特異性よりプレグネノロンに対する特異性の方が若干弱いなどの特徴が観察された。また17αーOH体に対する特異性は,17αーOHプロゲステロンに対する方が,17αーOHプレグネノロンに対する特異性よりも強く,ウシのP450c17とは逆の相関性を示唆した。 これとは別に種々のステロイドホルモン合成型Pー450のニワトリ胚発生と器官分化に伴なう発現の消長を調べ、ニワトリの性分化,生殖腺分化過程におけるこれらPー450遺伝子群の役割を探る為,あらかじめ性判別を行なった孵卵開始後2,3,4,5,6,7,9,11,13日胚中に於けるPー450c17,及びPー450aromの発現をそのcDNAのPCRによる増巾により検出した。この結果Pー450c17遺伝子は雌雄ともに孵卵2日目胚で既に発現していることが示され,また雌雄における発現の違いはほとんど見られなかった。しかしPー450aromは雌では7日目以降に解析したすべての胚でPCR産物が検出され、またそれ以前の胚にも検出されるものがあったが,雄では13日目胚まではほとんど検出される胚は無く,明確な雌雄の差を示した。ニワトリの生殖腺分化は孵卵後5〜6日とされているが,Pー450c17の発現はこれより前に既に始まっており、またPー450aromの発現は生殖腺の分化と同期して制御されていることが強く示唆された。
|