1990 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の高誘導性チトクロ-ムPー450の発現調節機構
Project/Area Number |
02217205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 正道 東京大学, 農学部, 教授 (50018339)
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Keywords | アルカン資化酵母 / Candida maltosa / チトクロ-ムPー450 / 遺伝子クロ-ン化 / ヌクレオチド配列 / 遺伝子破壊 / 多重遺伝子群 |
Research Abstract |
nーアルカンを単一炭素源,エネルギ-源として生育できる酵母であるCandida maltosaは炭素源がnーアルカンの時,チトクロ-ムP450遺伝子の発現がonになり,ミクロソ-ムにP450を蓄積する。この酵素はnーアルカンの初発酸化酵素として働く。この現象は疎水性物質による真核生物遺伝子の発現調節機構の解明に適していると考えた。私はこのP450をnーアルカン培養C・naltosa細胞より精製し,その部分的アミノ酸配列を決定し,その遺伝子を単離し配列を決定し,CYP52A3と命名した。その配列から推定されるP450のアミノ酸配列は既知のものと共通部分を持ちP450superfamilyの一員と考えられる。一方、この遺伝子の発現調節の解析に必要なC・maltosaの宿主ーベクタ-系を完成させた。この系を用いてCYP52A3遺伝子の上流にあってnーアルカンによる発現調節に関与している領域を特定することを研究の主な目的とした。 まずC・naltosaの細胞内で活性を検出しやすい酵素の遺伝子としてCーADE1をリポ-タ-遺伝子として選び、その上流にCYP52A3の上流の種々の領域を連結し,C・maltosaに導入し,炭素源を変化させた時のCーADE1の活性を測定した。特にnーアルカンによる正の,グルコ-スによる負の調節に関与する領域をそれぞれ決定した。またCYP52A3DNAをプロ-ブとして用いた実験により,C・maltosaのゲノム中に非常に相同性の高い遺伝子がもう1つ存在することを見出した。この遺伝子を単離し配列を決定したところCYP52A3のallelic遺伝子であることがわかった。これら2種の遺伝子をin vivoでの相同性組換えを利用して破壊した株を作ったが、2の株もまだnーアルカン資化能を有していた。これはC・maltosaゲノム中にCYP52関連多重遺伝子群が存在し、発現しているためであると結論した.
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[Publications] カワイ シンヤ 川合 伸也 Kawai Shinya: "Isolation and sezuencing of a gene,CーADE1,and its use for a hostーvector system in Candida maltosa with two genetic maskers" Agric.Biol.Chem.55. 59-65 (1991)
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[Publications] オオクマ モリヤ 大熊 盛也 Ohkuma Moriya: "CYP52(cytochrome P450alk)multigene family in Candida maltosa:Molecular cloning and nucleotide sequence of two genes arranged tandemly" DNA and Cell Biology. (1991)