1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02220219
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
橋本 誠一 奥羽大学, 歯学部, 講師 (60094950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 勇 奥羽大学, 歯学部, 助手 (60083432)
萩野 顕彦 奥羽大学, 歯学部, 助手 (80156249)
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Keywords | Nerve Growth Factor / Fibroblast Growth Factor / Protein Phosphorylation / ribosomal proteim S6 / Protein Kinase Inhibitor / Elongation Factor 2 / PC12h |
Research Abstract |
神経成長因子の作用発現におけるチロシンキナ-ゼの関与を検討するためにチロシンキナ-ゼ阻害剤であるST638を用いて以下の実験を行った。 1)神経成長因子の神経突起伸張作用に対するST638の影響。 PC12h細胞は、神経成長因子に応答して神経突起を形成し伸張させるが、ST638は、75μMの濃度で神経成長因子の神経突起形成作用を阻害した。 2)神経成長因子のリボソ-ムS6蛋白質燐酸化増加作用に対するST638の影響 PC12h細胞に神経成長因子を作用させるとリボソ-ムS6蛋白質の燐酸化レベルが一過性に上昇する。この神経成長因子の作用は300μMのST638で完全に阻害された。 3)上皮成長因子及び線維芽細胞成長因子のリボソ-ムS6蛋白質燐酸化増加作用に対するST638の影響 ST638は神経成長因子のリボソ-ムS6蛋白質燐酸化増加作用を阻害するのと同じ濃度で上皮成長因子及び線維芽細胞成長因子のS6蛋白質燐酸化増加作用を同様に阻害した。 4)ST638のキナ-ゼ特異性に関する検討 WGAアガロ-スを用いてPC12h細胞膜から上皮成長因子の受容体を調製しチロシンキナ-ゼの標品とした。また、PC12h細胞抽出液を内在性のサイクリックAMP依存性蛋白質燐酸化酵素及びカルシウム依存性蛋白質燐酸化酵素の標品としてST638のキナ-ゼ阻害剤としての特異性を調べた。ST638は30μMの濃度で上皮成長因子の受容体チロシンキナ-ゼ活性を完全に阻害した。一方この濃度でサイクリックAMP依存性蛋白質燐酸化酵素あるいはカルシウム依存性蛋白質燐酸化酵素の活性には影響を与えなかった。 以上のことからST638は、PC12h細胞においてもチロシンキナ-ゼの特異的な阻害剤として働き、神経成長因子の作用の阻害も神経成長因子によって活性化される特異的なチロシンキナ-ゼを阻害することによるものと思われる。即ち、神経成長因子の作用発現には特異的なチロシンキナ-ゼの活性化の機構が関与しているものと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Seiichi Hashimoto and Akihiko Hagino: "Nerve Growth FactorーInduced Transient Increase in the phasphiry lation of Ribosomal Protein S6 Mediated Through a Mechanism Independent of Cyclic AMPーDependent protein Kinase and Protein Kinase C" Journal of Neurochemistry. 55. 970-980 (1990)
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[Publications] Seiichi Hashimoto,Akihiko Hagino,Yuji Amagai: "Fibroblast Growth FactorーIndaced Decrease in the phosphory lation of Nsploo Mediated through a CalciumーDependent Mechanism and Blocked by lectins" Cell Structure and Function. 15. 181-189 (1990)