1990 Fiscal Year Annual Research Report
クロム親和細胞からのカテコ-ルアミン放出の細胞内分子機構の研究
Project/Area Number |
02220220
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
熊倉 鴻之助 上智大学, 理工学部, 助教授 (70129790)
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Keywords | クロム親和細胞 / カテコ-ルアミン放出 / マストパラン / 開口放出 / G蛋白質 / カルシウム |
Research Abstract |
本研究では、神経終末からの伝達物質放出の分子機構の解明を目的として、ウシ副腎髄質細胞からのカルシウムー依存性カテコ-ルアミン放出をモデル系に用いて、マストパランが開口放出を誘発する機序、及びG蛋白質の関与様式について、昨年度の研究結果に基づいて研究を継続した。マストパランが副腎髄質細胞で開口放出を誘発する機序として、その放出動態の特性から、マストパランが細胞膜表面の何等かの分子と可逆的に結合していると推測された。この時、細胞骨格系の変化を形態学的に観察すると、マストパランはカルシウムー非依存性に形質膜直下のアクチン・ネットワ-クの脱重合を引き起こしていた。こようなマストパランの作用はこれまで知られておらず、この時のマストパランの作用点はG蛋白質とは異なることから、開口放出に直接関わる分子として、この分子の同定が今後の重要な課題である。一方、カルシウムー依存性非口放出におけるカルシウムの効力の調節に関わるG蛋白質について以下の新しい知見が得られた。即ち、高浸透性細胞を、百日咳毒素感受性G蛋白質、Gi及びGoの各々のαーサブユニットC末端ペプチドに対する特異抗体で処理し、カルシウムー依存性開口放出に対する影響を調べた。その結果、昨年度百日咳毒素で得られたと同じカルシウム効力の上昇がGo抗体によってもたらされ、この作用はGoと抗体の選択的反応によるGoの不活性化による事が明かとなった。この結果から、開口放出を誘発するカルシウムの効力はGoの制御下にあると考えられ、今後、Goと共役する分子、及びGo活性の調節因子の究明が伝達物質放出の分子機構解明にとって極めて重要であることが示唆された。
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[Publications] 今泉 美佳: "開口放出の分子機構におけるGTP結合蛋白質の関与" 神経化学. 29. 394-395 (1990)
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[Publications] Susumu Terakawa: "Ouantitative analysis of exocytosis directly visualized in living chromaffin cells" Neuroscience Letters.
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[Publications] Mica O.ーImaizumi: "Regulatory role of the GTP binding protein,Go,in the mechanism of exocytosis in adrenal chromaffin cells" Journal of Neurochemistry.