1990 Fiscal Year Annual Research Report
発話韻律の生成メカニズムに関する実験的及び発達的研究
Project/Area Number |
02224203
|
Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
往住 彰文 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (50125332)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 清子 日本女子大学, 家政学部, 助手 (50120770)
川上 清文 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (50129904)
|
Keywords | 心理言語学 / 発話韻律 / 発話意味論 / 身体性 / 計算言語学 / 言語獲得 |
Research Abstract |
実験的アプロ-チ、発達的アプロ-チそれぞれについて次のような成果が得られた。1.発話韻律の身体性について:発話に内容と、各種の身体的(非言語的)動作との関連性をみるための人工的発話事態を用いた実験をおこなった。発話韻律をも身体的動作(音声的動作)の一種としてあつかい、他の身体的動作の指標と比較することを試みたのである。発話の内容として、空間的配置の記述課題、身体的技能の記述課題、形態の記述課題、抽象課題、を与え、身体的拘束なしの自由発話条件(非拘束条件)と、頭部と腕を固定した身体的拘束(拘束条件)の2条件のもとでの発話を分析した。身体動作の発現に関する体系性が見いだされたほか、身体動作とイントネ-ション変動についての依存関係も見いだされた。2.韻律生成モデルのための理論的枠組:対話ゲ-ム意味論の枠組を用い、韻律に関するいくつかの指標を組み入れることを試みた。この拡張は次のような発話韻律意味論を可能にした。1)対話ゲ-ムの中での個々の発話の機能的意味を記述できる。2)発話相互の間の意味的、韻律的拘束関係を記述できる。さらに、与えられた発話に含まれている文法的標識、韻律的標識、談話構造(前提、焦点)、情報構造(旧情報、新情報)を手がかりとしてその発話をカテゴリ化するヒュ-リスティクスを計算モデルとして構築した。3.韻律獲得過程への発達心理学的アプロ-チ:本研究では波型の発達を仮説として考えているが,この仮説を実証するために,縦断的研究をおこなった。生後10か月まで収集がすみ,第1の節目となるのではないかと考えられる生後3か月頃の知見をえるために,生後4か月までの分析を行った。
|
-
[Publications] 往住 彰文,川上 清文,川上 清子: "韻律生成の認知モデル" 日本語音声研究報告. 3. 108-109 (1990)
-
[Publications] 往住 彰文,川上 清文,川上 清子: "発話韻律の生成メカニズムに関する実験的及び発達的研究" 日本語音声研究報告. 4. 109-113 (1991)
-
[Publications] 往住 彰文: "発話韻律理解の認知的側面について" 日本心理学会第54回大会発表論文集. 557 (1990)
-
[Publications] 往住 彰文: "発話のメカニズムと身体性について" 日本心理学会第55回大会発表論文集. (1991)
-
[Publications] 往住 彰文: "心の計算理論" 東京大学出版会, 201 (1991)