1990 Fiscal Year Annual Research Report
可視及び熱赤外衛星画像に見られる表層海況変動に対する低次生物生産過程の応答
Project/Area Number |
02228211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
才野 敏郎 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60126068)
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Keywords | 局地性湧昇 / CZCS / 衛星画像 / 生物生産 / 植物色素 / 懸濁態有機物 |
Research Abstract |
NASAーゴダ-ドスペ-スフライトセンタ-で開発されたPCーSEAPAKシステムを導入し,NIMBUS7ーCZCS画像を処理した. 日本近海の良好な画像約340シ-ンのうちおよそ40シ-ンを収集し,光磁気ディスクファイルとして保管した. 標題研究課題のモデルケ-スとして,本年度は伊豆諸島海域の局地性湧昇域を取り上げて,1986年に実施した現場観測の結果を解析し,1982年のCZCSの可視,熱赤外画像と比較検討した. 現場観測の結果からは,伊豆諸島の局地性湧昇は黒潮あるいはそれに付随する強流が島回りの地形の影響によって引き起こす乱れによる上下混合と考えられること,表層水の水塊は黒潮フロントから沿岸よりの表層水と,亜表層の亜熱帯モ-ド水との混合で説明できることが明かになった.表面海水中の懸濁有機粒子のC/N比,炭素一窒素安定同位体比を指標とすると湧昇[混合]水中の植物プランクトンは下層から輸送された栄養塩類を活発に取り込んで成育していることがわかった.表層に現れた湧昇[混合]水塊は直ちに回りの表層水と混合して,周辺全体の生物生産に寄与しているが,まれに水平混合よりは湧昇水塊内の生物生産が卓越する場合があることが明かになった. CZCSの可視,熱赤外画像から植物色素濃度,表層水温の画像を作成し比較した結果は両者のパタ-ンは一致する場合と,しない場合があり,これは表層水の混合の度合の違いによって説明されると考えられた.とくに黒潮が伊豆諸島を越えた東側で高温水域で高い植物色素濃度域が認められたことは,現場観測の結果とよく対応していることがあきらかになった.
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