1990 Fiscal Year Annual Research Report
CHーπ相互作用を含む分子認識場の構築と合成化学的利用
Project/Area Number |
02230206
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小倉 克之 千葉大学, 工学部, 教授 (60114253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 誠 千葉大学, 工学部, 助手 (90209065)
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Keywords | 分子認識 / CHーπ相互作用 / ペプチド固相 / αーアルキルベンジルアミン / スルホキシイミン / スルホキシド / 光学分割 |
Research Abstract |
本研究は、CHーπ相互作用に着目したモデル系の構築により分子認識に働く分子間力を解明して、医薬や農薬の構造活性相関の研究に役立てるとともに、不斉中心を有する化合物の光学分割に応用して不斉合成の発展にも寄与することを目的とする。本年度は、(R)ーフェニルグリシルー(R)ーフェニルグリシン(1)およびその関連化合物と種々の基質との相互作用を研究して、以下の成果をあげた。 1.昨年度研究した1の代わりに、(R)ーフェニルグリシルグリシルー(R)ーフェニルグリシン(3)固相による種々のスルホキシド(2)の分子認識を研究した。この3の基質の取り込み場は1のそれに比べて狭くなると予想される。事実、メチルフェニルスルホキシドとメチルpートリルスルホキシドが不斉認識を伴って取り込まれたが、これらより大きいアルキル基を有するスルホキシドは取り込まれず、予想と一致した。 2.1の固体(0.5mmol)をsーアルキルーsーフェニルスルホキシイミン(4)のラセミ体(1.0mmol)と水あるいはベンゼン存在下で攪拌すると、4を取り込んだ不溶固体が得られた。本取り込みでは4のアルキル基の種類(メチル、エチル、イソプロピル)に関係なく、常にR体が取り込まれた。このことから、4のスルフィニル酸素、NHおよびフェニル基とペプチドとの相互作用が不斉分子認識に関係していると思われる。 3.固体1をαーアルキルベンジルアミン(5)と水または共在下で攪拌すると、1と5とからなる不溶固体が得られる。アミンのアルキル基がメチル、イソプロピル及びtーブチル基で高い不斉認識が観察されたことから、アルキル基とフェニル基とのCHーπ相互作用が重要と考えられる。また、本系は極めて効率の良いαーメチルベンジルアミン(5)及びその誘導体の光学分割法とみなすことができる。
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Research Products
(1 results)