1990 Fiscal Year Annual Research Report
カルコゲン原子の機能を活かした分子錯体の設計とその物性研究
Project/Area Number |
02230222
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 助教授 (80029884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安蘇 芳雄 広島大学, 工学部, 助手 (60151065)
小倉 文夫 広島大学, 工学部, 教授 (90028150)
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Keywords | 有機電導物質 / 分子錯体 / 電子供与体 / 電子受容体 / ヘテロ原子 |
Research Abstract |
本研究では、新規の高電導性の電荷移動錯体の開発を目指して、周期律表第16族カルコゲン原子を含む新しいタイプの電子供与体および受容体の分子設計を行っているが、本年度は電子供与体の分野で、種々のペリ位カルコゲン架橋芳香族化合物の開発に成功した。これらの化合物はアントラセン、テトラセンなどのポリアセンを基本骨格とし、ペリ位に環状へテロ環を含む。それ故、強い電子供与能を有し、その大きさが分子骨格およびその骨格中に含まれるヘテロ元素の種類に大きく依存している。これらの化合物は発達したパイ系と強いカルコゲン原子間相互作用のため、固体状態で電導に寄与できる積層カラムの形成が容易になる。更に、その芳香環をアルキル基で修飾することにより、電子供与能の一層の向上と溶解性の改善を図ることが出来、錯形成が容易になる。実際に、これらの化合物は種々の電子受容体と電荷移動錯体を形成し、そのほとんどが高電導性であることが分かった。また、それらの化合物を基質として電解反応を行うことにより、種々のラジカルカチオン塩の作成にも成功した。その中には室温電導度が450Scm^<ー1>と極めて高電導で、金属的な挙動を示すものも含まれている。ラジカルカチオン塩の錯体のX線構造解析により、結晶構造中ではドナ-分子が等間隔で積層カラムを形成し、その分子間ではかなり強いカルコゲン原子の相互作用があることが分かった。今後、本研究で得られた新規分子錯体の詳細な物性の研究と共に、機能材料としての応用の検討を行う積もりである。そして、錯体の構造と機能性の解明より、更に、優れた電導物質の設計を行う要予定である。
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[Publications] H.Takimiya et al.: "2,3ーDimethyl and 2,3,6,7ーtetramethyl Derivatives of Anthra[1,9ーcd:4,10ーc'd']bis[1,2]dichalcogenoles as New Elctron Donors." Chemistry Letters. 567-570 (1990)
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[Publications] H.Ishida et al.: "Novel Electron Acceptors Bearing a Heteroquinonoid System III:2,5ーBis(dicyanomethylene)ー2,5ーdihydrofuran and Its Conjugated Homologues as Novel OxygenーContaining Electron Acceptors." Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 2828-2835 (1990)
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[Publications] H.Miyamoto et al.: "Naphthaceno[1,12ーcd:4,5ーc'd']bis[1,2]diselenole as a New Electron Donor." Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 2441-2443 (1990)