1990 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性中員環歪み化合物の合成設計とその作用機構の解明
Project/Area Number |
02231210
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 孝志 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80110724)
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Keywords | ネオカルチノスタチン / クロモフォア / DNA切断 / 分子力場計算 / [2,3]ーWittig転位反応 / Bergman反応 / ビラジカル |
Research Abstract |
ネオカルチノスタチンクロモフォア(1__ー),エスペラミシン(2__ー)は、DNAを特異的に切断し、非常に強い抗ガン作用を示すことが知られている。その活性発現は、アルキンが2個存在している極めて特異で高度に歪んだ9あるいは10員環化合物内で起こる渡環反応からビラジカルが生成し、それがDNAを切断するためとされている。そこでまずDNAの切断活性の発現機構を分子レベルで解明するため、特異な構造を有するモデル化合物3__ー,4__ーの合成を行った。すなわち分子力場計算を用いたコンホメ-ション解析に基づき設計した12員環エ-テル5__ーの分子内[2,3]ーWittig転位反応が、ー100℃で瞬時に進行し、9員環化合物6__ーを効率よく与えることを見いだした。さらに6__ーの3級あるいは2級水酸基を脱離させ、それぞれ1__ー,2__ーのモデル化合物となる3__ー,4__ーの合成に成功した。3__ーによる天然物類似の渡環反応は起こらなかったが、より求電子性の高い7__ーへ導いたところ天然体と同様に渡環反応が進行することがわかった。また4__ーは9員環内のBergman反応が室温で進行し、その活性化エネルギ-が14kcal/molであり、既に報告されている10員環化合物の活性化エネルギ-に比べ約10kcal小さいことがわかった。また3__ー,4__ーを用いたDNA切断活性試験を試みたが活性は見られなかった。さらに3__ーについては天然のネオカルチノスタチンのアポタンパクとの構成試験も試みたが、3__ーアポタンパクと構成しないことがわかった。すなわちクロモフォア1__ーのA,B部位がDNAあるいはアポタンパクとのbindingに重要な働きをしていることが示唆された。今後A,Bの導入が可能なコア部位の合成を行うと共にA,B部位の果たしている役割にして明らかにしていく予定である。
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[Publications] Haruo Yamada: "New Synthetic Intermediate for Transー8ーmethylhydroindanones" Tetrahedron Lett.31. 2407-2410 (1990)
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[Publications] Takayuki Doi: "Enantioselective Approach to the Steroid Skeleton by Conjugate Addition of Alkenylc^^ーopperーPhosphine Complexes. Total Syntheses of Estrone Methyl Ether and Its 7ーAlkylated Derivative" Tetrahedron Lett.31. 3313-3316 (1990)
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[Publications] 山田 晴夫: "有機合成の新手段 ーコンピュ-タ-の活用ー" 有合化. 48. 593-605 (1990)
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[Publications] Takayuki Doi: "Syntheses and Transannular Cyclizations of NeocarzinostatinーChromophore and EsperamicinーCalichemicin Analogs" 投稿中.