Research Abstract |
14項環マクロリド抗生物質オレアンドマイシンを対象物質として選び以下の研究を行った。糖質マンノ-スを原料にして合成した共通中間体を経て,C1ーC7位部分とC8ーC14位部分に相当する2つのセグメントを合成した後,初率よくカップリングして得た天然物とCー5位と11位の水酸基およびCー6位,8位および10位のCーメチル基の立位化学が異なるアグリコン部分を合成した。続いて,4個の水酸基を酸化して得られる環状ポリケチドのCーメチル基を天然型に異性化後,環元して天然アグリコン(オレアンドライド)を経て,オレアンドマイシンに導いた。すなわち,まず,環状ポリケチドのカルボニル基を環元して,立体特異的に天然アグリコン,8ーメチルオレアンドライドを得るためのハイドライド環元の条件を,試薬,溶媒および添加剤などについて検討した結果,MgBr_2などの添加剤を加えないでZn(BH_4)_2で環元すると,天然型アグリコンが得られることが判明した。つぎに,天然型アグリコン部分に2種の構成糖を立体選択的に導入する方法を検討した。特に,2,6ージデオキシン糖のαーグリコシド結合の形成は一般的に困難であるので,その合成法を開発した。その結果,2,6ーアンヒドロー3,4ージヒドロキシー2ーチオ誘導体の1ーSPh体および1ーF体が適当な活性化剤の存分下に,高収率で相当するαーグリコシド体を与えることを見いだした。得られたグリコシド体は,ラネ-ニッケル存在下,脱硫することにより,相当する2,6ージデオキシーαーコシドに変換された。この方法を用いて,アグリコン部分へのオレアンドロ-ス部分の導入に成功した。さらに,オレアンドライドのCー2位,4位,6位,8位,10位および12位のCーメチル基を持たず,Cー13位のCーメチル基のみと,Cー3位,5位,9位および11位の水酸基をもつ単純化されたアグリコンを全合成的に合成した。
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