1990 Fiscal Year Annual Research Report
エイズの総合的基礎研究 A05 エイズの予防と治療に関する研究
Project/Area Number |
02235105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 重晴 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90068453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴尾 隆 癌研究会, 癌化学療法センター, 部長 (00012667)
竹内 富雄 微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30163380)
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Keywords | エイズ / HIV / リポソ-ム / 抗生物質 / キジミシン / エネシアスタチンB / AZT / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)活性を有する物質の検索およびHIV感染の生物学的抑制の可能性について以下の研究を行った。 <(1)HIV(JMHー1株)感染の生物学的抑制について(上田)>___ー (a)亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の場合にジフテリア毒素フラグメントA封入リポソ-ム(以下、Lip(A)と省略)を用いて得られた感染抑制の実績をHIV感染ヒト末梢血リンパ球(PBL)に応用した。SSPEの場合のように感染価を低下させることはできなかった。一層の工夫がいるものと判断した。 (b)HIV感染PBLの培養系にHIVのenv抗原とは反応するが、中和能をもたないAC患者血清を加えることによって3日間で培養系の感染価を90%抑制することができた。メカニズムを解明中である。 <(2)抗HIV活性を有する微生物産物とその関連物質の検索(竹内)>___ー 放線菌586株、細菌206株の培養ろ液から17株の活性培養ろ液を得た。Kijimicinなどの既知のポリエ-テル抗生物質の他に新規物質も得られた。現在、同定中である。 また、Siastatin B(放線菌の生産するシアリダ-ゼ阻害物質として発見した)が弱いながら抗HIV活性を示したので、関連物質40種を合成し、検索した結果、4ーdeoxyー4ーenesiastatin Bとそのメチルエステルが優れた活性を示した。 <(3)HIV感染による薬剤耐性誘導の検討(鶴尾)>___ー AZT耐性HIVの出現が問題になってきている。抗癌剤耐性がMDRI遺伝子によってコ-ドされるPー糖タンパクの作用に関連していることが報告されたので、H9、U937細胞でAZT、DDCに対する耐性誘導を検討した。アドリアマイシンに対して550倍の耐性を示す細胞がわずか12倍と31倍の耐性を示しただけであった。
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[Publications] Adachi,A.,Ono,N.,Sakai,H.,Ogawa,K.,Shibata,R.,Kiyomasa,T.,Masuike,H.,and Ueda,S.: "Generation and characterization of the human immunodeficiency virus type 1 mutants." Arch.Virol.(1991)
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[Publications] Yusa,K.,Ohーhara,T.,Yamazaki,A.,Tsukahara,S.,Satoh,W.and Tsuruo,T.: "Crossーresistance to antiーHIV nucleoside analogs in multidrugーresistant human cells." Biochem.Biophys.Res.Commun.169. 986-990 (1990)