1990 Fiscal Year Annual Research Report
色素上皮細胞としての分化形質の発現・維持にかかわる因子の探索
Project/Area Number |
02236212
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
児玉 隆治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90161950)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿形 清和 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (70167831)
|
Keywords | FGF(線維芽細胞成長因子) / 分化転換 / TGF結合タンパク質 / 網膜色素上皮細胞 |
Research Abstract |
1.FGFの作用 FGFには、塩素性(b)と酸性(a)の二つの形が存在し、bFGFの中にもN末端が様々に切りとられた形が存在する。これまでに分化転換の促進にはbFGFだけでなく,aFGFも効果があることがわかった。bFGFの作用を更に解析する手段として,トリbFGF遺伝子の一部をPCR法を用いて単離することができた。これをプロ-ブとして、色素上皮細胞でのbFGF遺伝子の転写を調べたところ、分化状態にかかわらずbFGFは発現していないことがわかった。色素上皮細胞においてbFGFは、オ-トクライン因子としてではなく、周辺の神経性網膜などの組織からの刺激として働いているらしい。 2.pP64とTGF結合タンパク質との塩基配列の相同性 色素上皮細胞の分化転換の過程で発現様式が変化する遺伝子を調べる目的で、いくつかのcDNAクロ-ンが単離された。pP64は、そのトランスクリプトの長さが、色素上皮細胞とレンズ細胞とで変化する点で注目されたクロ-ンである。このpP64遺伝子がコ-ドするタンパク質は塩基配列から推定したところ、十数個のEGF(上皮成長因子)様モチ-フの繰り返し構造を持ち、その組合わせが二種類のトランスクリプトの間で異っていることがわかった。最近、他のグル-プによってヒトのTGFβ(トランスフォ-ミング成長因子)の結合タンパク質が単離され、cDNAの塩基配列から全アミノ酸配列が発表された。この配列と,pP64遺伝子産物の予想アミノ酸配列とを比較すると、92.4%の残基が一致していることがわかった。ヒトなどのホ乳類と鳥類とでは、相同分子の間でも多くの残基が変化していることが多いので、この数字は、相当の高率であると言える。従って、pP64遺伝子産物はトリのTGFβ結合タンパク質であり,しかもこのタンパク質は細胞にとって重要な役割を担っていると推測できる。
|
-
[Publications] R.KODAMA,G.EGUCHI & R.O.KELLEY.: "Ultrastructural and immunocytochemical analysis of the circumferential microfilament bundle in avian retinal pigmented epithelial cells in vitro." Cell and Tissue Research. (1991)
-
[Publications] M.ITOI,R.KODAMA,S.TAKAYAMA,M.ITOI,G.EGUCHI: "Ultrastructural observations of typical gap jimctions in human foetal lens nucleus" Current Eye Research. (1991)