1990 Fiscal Year Annual Research Report
日本における近代化が農地の分布と特性に及ぼした影響に関する研究
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02243205
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
元木 靖 埼玉大学, 教養部, 教授 (00092023)
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Keywords | 近代化過程(1883〜1980年) / 日本の農地の時間的・空間的変化 / 時期区分 / 地域分化 / 農地変動の地域類型 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、明治以来のわが国の近代化過程において、農業・食料生産の基盤である農地分布の変動と改良がどのように展開したかについて、地理学の立場から整理し、その結果を地図に表現するとともに、その要因を近代化による環境変化の問題として考察することである。本年度は、研究計画にしたがい、購入したパ-ソナルコンピュ-タ-を利用し、日本の農地の時間的・空間的変化をデ-タベ-ス化する作業と、それを基礎とする基本的な考察をすすめ、とくに以下の諸点について新しい知見を得た。 1.日本の農地は、近代化の過程(ここでは1883〜1980年を対象)において、大きく3期(拡大期・変動期・縮小期と命名)をへて現在に至っている。この時期区分の提案は、農地変動プロセスの全体像の把握、および近代化が農地に対してどのような影響をもたらしてきたのかを、分析する際の基本的な枠組として意味がある。 2.各都道府県レベルの農地変動のプロセスは、基本的に全国の傾向に同調するが、実際には西南日本から東北日本へ、巨大都市を含む地域から周辺地域へという形で、時間差を伴って展開している。 3.またこのプロセスは、(1)農地の地目(田と畑)、(2)農地面積の増域、あるいは(3)農地面積の減少速度の遅速というような形で、国土利用における農地の分布の地域分化を促進する過程として把握することができた。 4.上記2、3の傾向の地域的性格は、農地の拡張プロセスと潰廃プロセスの関係をパタ-ン化し、各都道府県毎の地域類型として整理することによって総合的に表現できることが分かった。 今後は、これらの状況を地図化するとともに、この地理的意義を考察する一方、農地の特性の変化との関係を整理・分析して、本研究の最終目的に向け作業を進める予定である。
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