1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02243219
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大内 俊二 中央大学, 理工学部, 助教授 (00185191)
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Keywords | 地表形態 / スケ-リングパラメ-タ- / フラクタル / 自己アフィン / 標高メッシュデ-タ |
Research Abstract |
海岸線や等高線は、自己相似性を示すフラクタル図形の古典的な例とされているが、地形断面線は高さと距離の性質が違い、異方性を持つ自己アフィンと考えるべきである。地形を3次元的にとらえる場合も同様に自己アフィン性を考える必要がある。形態の"複雑さ"をフラクタル次元Dで表わすことができるのは自己相似の場合に限られるが、自己アフィン性をもつ地形の特徴を表わすために、異なる方向について別々にスケ-ルすることによって得られるパラメ-タ-、H'、が有効ではないかと考えた。地表面を自己アフィンとすれば、ある範囲内の地表面について、高度の分散(Z^2)および底面積(A)は表面積(S)とZ^2〜S^<νZ>、A〜S^<νA>の関係で表わされる。ここでH'=νz/νAであるが、地形の場合は常にνa〓1と考えられるため、H'〓νzとなる。 5千分の1国土基本図を用いた山口県岩国市及び高知県伊野市付近の2ヵ所についての計測では、それぞれ0.68と0.76というH'の値が得られ、これらの値がこの縮尺の地形図において細かな起伏とより大きな起伏の関係という点でこれらの地形の特徴を表わしていると考えることができた。2万5千分の1地形図上で4ヵ所についての計測では、大起伏山地である槍が岳付近で0.72、丹沢山付近で0.61、侵食の進んだ八溝山付近で0.48八溝山よりもう少し起伏の小さな磐城片貝付近で0.46というH'の値が得られた。これらの値も非整数ブラウン運動曲面の形態と比較して矛盾のない値と言うことができる。 このように、最も基本的な地理情報の一つである地表形態の特徴を包括的・数量的に表現するパラメ-タとして、理論的な裏付けのあるH'を使用できる可能性があることがわかった。今後は、できる限り計測例を増やし、多方面からの検討を進めることが必要である。
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[Publications] 大内 俊二: "自己アフィン性を用いた地表形態の数的表現の試み" 日本地理学会 予稿集. 38. 150-151 (1990)
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[Publications] 大内 俊二: "コンピュ-タ-を用いて作成した偽地形と自己アフィン性の計測" 地形. 12. 74 (1991)
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[Publications] Ouchi,Shunji: "Measurement of Selfーaffinity on surfaces as a Trial Application of Frantal Geometry to Landform Analysis." Geomorphology.