1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02244204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
綿抜 邦彦 東京大学, 教養学部, 教授 (70012333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 穆一郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (90012426)
永野 三郎 東京大学, 教養学部, 教授 (50010913)
浜田 隆士 東京大学, 教養学部, 教授 (60012366)
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Keywords | 地球環境 / ゆらぎ / サイクル / 古気候 / 解析 / パワ-スペクトル |
Research Abstract |
本年度は,まず過去数十万年にわたり,地球環境がどのようなゆらぎのパタ-ンを示すかを解析した.具体的な例としてビワ湖ボ-リングコアから得られた情報を処理した.ビワ湖の深層堀削で得られたコアは,1422.5mに及ぶが,このうち900mは堆積層で,現在利用できるデ-タはよそ56万年前までのものである. 古環境のゆらぎの傾向を知るために,パワ-スペクトル解析を行なった.すなわち.地球の古環境のデ-タの周波数スペクトルを求め.そのピ-ク部方の最小二乗法による一次回帰を行ない.この回帰直線の傾き(s)によってゆらぎの傾向を表わした. ゆらぎの型はl/f^sで与えられ,s=0の場合は“白色ゆらぎ"あるいは“ランダムゆらぎ"とよばれる.この場合.ゆらぎはランダムである傾向を求めることはできない.s=1は自然システムや工学システムに広し存有し,ある傾向は示すが原因の解析は十分でない.s=2の場合は振動散逸定理で説明されるゆらぎである. 次に解析結果を示す.()内はsの値である.1.堆積物中の全炭素含有量(s=1.13),2、堆積物中の全窒素含有量(s=1.10),3.堆積物中のc/N(s=1.03),4.属植物質(s=1.14),5,脂質総量(s=0.37),6.δ^<13>c(s=1.16),7.花粉分析(s=1.50),8.クロロフイル含量(s=1.33) また,ミランコビッチによる日射量曲線を解析したところs=1.01となった.これらの事実は,自然環境の変遷が過去50万年にわたりl/fゆらぎでゆらいでいることを示し.自然はある方向性をもって変動していることを示している.自然環境のサイクるの解析が,地球環境の今後の予測,理解に有用な情報を与えるものであることが本年度の研究から明らかになった.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] B.Takano,K.Watanuki: "Monitering of Voleanic eruption at yagama crater lake by a queoccs saefur oxyanions." J.Volcand.Geotherm,Res. 40. 71-87 (1990)
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[Publications] 綿抜 邦彦: "地球化学から見た現在の地球" 化学工業. 41. 541-546 (1990)
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[Publications] 綿抜 邦彦: "地球環境のゆらぎとサイクル" 21世紀高度技術社会を迎えるに当って. 1. 26-31 (1990)
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[Publications] G.I.Matsumoto,K.Watanuki: "Organic Geochemistry of the McMurdo,Dny Valley Soel." Org.Geochom.16. 781-791 (1990)
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[Publications] 綿抜 邦彦: "病める地球をどう救うか" 共立出版, 197 (1990)