1990 Fiscal Year Annual Research Report
超音波法による非電解質水溶液の動的物性についての研究
Project/Area Number |
02245211
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
西河 貞捷 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40039293)
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Keywords | アルコ-ル水溶液 / アルコ-ル水相互作用 / 超音波 / 緩和現象 / 水構造 |
Research Abstract |
アルコ-ルなどの非電解質水溶液の超音波の吸収メカニズムと溶質の構造との定量的相関を解明する目的で本研究は始められた。まずこれまで得てきている種々のアルコ-ル水溶液の超音波吸収に関するすべてのデ-タを希望する研究者に提供すべくデ-タベ-ス化に取り組くだ。このため本研究費で購入したパ-ソナルコンピュ-タはその威力を発揮し,部分的ではあるが一部提供を始めている。次にアルコ-ルはその疎水部が大きくなると水に難溶性となり超音波吸収の研究は制限される。界面活性剤はその可溶水化能によりこのようなアルコ-ル水溶液を均一な系にする。しかしながら界面活性剤のアルコ-ル水溶液への添加は系を複雑にするためにまず単純な系における添加界面活性剤の効果の検討が必要であると考えられた。ユ-プロパノ-ル水溶液は超音波の単一緩和現象が観測される比較的単純な水溶液であり,この水溶液に陰イオン性および陽イオン性の界面活性剤を添加し,それらの溶液に及ぼす効果について調べた。その結果アルコ-ルと水分子の相互作用に活性剤分子のミセルがかなり影響を及ぼすことが明らかになった。さらにミセルの状態に応じてアルコ-ル分子のミセル内へのとり込み過程がMHz領域の超音波緩和現象として観測されることも明らかになった。これらの情報を基礎に難溶性アルコ-ル水溶液の動的物性の研究への新しい道が開かれつつある。 さらに難溶性アルコ-ルにメトキシ,エトキシ基を導入すると可溶になる。即ちエ-テル酸素はこれらを含むアルコ-ルの溶存状態を変化させる。このエ-テル酸素の効果を調べるためにメトキシプロパノ-ル,エトキシプロパノ-ル,プロポキシプロパノ-ルを合成し,それらの水溶液の超音波吸収測定を行ない,それらの解析結果よりメトオキシ基は水構造をかなり破壊し,エトキシはわずかに破壊することが明らかになった。プロポキシ基についてはさらに検討を進めている。
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[Publications] Sadakatsu Nishikawa: "Dynamic Study of Agueous Solutions of 2ーPropanol and Ethanol in the Presenc of Anionic and Cationic Surfactants by Ultrasonic Method." The Jaurnal of Physical Chemistry. 95. 437-444 (1991)
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[Publications] Sadakatsu Nishikawa: "Dynamic Characterization in Agueous Solutions of 3ーMethoxyーand 3ーEthoxyー1ーPropanal by Ultrasonic Methods." Bulletin of the Chemical Society of Japan.