1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02247204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
友田 修司 東京大学, 教養学部, 助教授 (30092282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩岡 道夫 東京大学, 教養学部, 助手 (30221097)
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Keywords | セレン / セレノキシド / 水素結合 / グルタチオン / グルタチオンペルオキシダ-ゼ / ホ-スラディシュペルオキシダ-ゼ / 酵素酸化 |
Research Abstract |
本年度はセレンの生理作用に関連した以下の研究成果が得られた。 1.Horseradish Peroxidase(HRP)/H_2O_2系によるpー置換セレノアニソ-ルの酸化反応 セレンの異常原子価化合物としてのセレノキシドの生体における役割を評価するため,酵素系におけるセレン化合物の酸化反応モデル系として,pー置換セレノアニソ-ル(ArSeMe)/HRP/H_2O_2系を選び,セレノキシドへの酸化反応速度の置換基効果を検討した。HRPによるセレノアニソ-ルの酸化に対する触媒効果が認められ,置換基の電子効果と反応速度には一定の関係はなく,いずれも無置換体より反応性が低下していることが判明した。そらに,ArSeMeのサクリックボルタンメトリ-の測定を行った。半波電位E_<1/2>は,予想通りかなりp位の置換基によって,大きく変化しない。これは,セレンの軌道準位が高いため,酸化され易く,パラ位の置換基効果が伝わりにくくなっていることを示している。 2.水酸基とセレンの分子内水素結合 セレンの水素結合形成能を実験的に証明した。モデル系は,<trans>___ーー2ーPhenylselenocyclohexanolである。各種スペクトルデ-タ(IR,NMR)より分子内水素結合の存在を確認し,その強さが5.32kcal/mol程度であることを証明した。また,2ーHydroxyethanesenenolをモデル系とし,4ー31G基底を用いた分子軌道計算による最適化構造のエネルギ-準位から推定した水素結合の強さは,2.13kcal/molであった。最適化構造では,OHの水素原子はセレンのvan der Waals球内にめり込んでおり,確かに結合があることを示している。また,OH結合ベクトルの方向はC(1)ーSeーH面に対し,セレン原子にほぼ90゚の角度をなしており,セレン原子が超原子価的になっていることを示唆している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 友田 修司: "有機セレンおよびテルル化合物" 実験化学講座(丸善). 24. 14 (1991)
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[Publications] S.Tomoda: "New addition reactions of organoselenium reagents across carbonーcarbon multiple bonds." Reviews on Heteroatom Chemistry. 3. 21 (1991)
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[Publications] S.Tomoda: "Synthesis and Structure of host molecules containing an SeーSe bond.Intramolecular hypervalent nature of Selenium Atoms in the crystal state." J.Chem.Soc.Chem.Commun.1990. 231-233 (1990)
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[Publications] S.Tomoda: "Double defferentiation in asymmetric methoxyselenenylation of fransーβーmethylstyrene." J.Chem.Soc.Chem.Commun.1990. 129-131 (1990)