1990 Fiscal Year Annual Research Report
高配位有機セレンおよびテルル化合物を活用する新現有機合成反応の開発
Project/Area Number |
02247212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 榮 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70027069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
年光 昭夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (60127107)
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Keywords | 含酸素複素環化合物 / 含窒素複素環化合物 / アルキルフェニルセレニド / メタクロロ過安息香酸 / 酸化反応 / 光学活性オキサゾリン / 光学活性βーアミノアルコ-ル / アゼチジン |
Research Abstract |
フェニルセレン基(PhSe)に対してβー位にアシルアミド基を有するアルキルフェニルセレニドをアルコ-ル中,mークロロ過安息香酸で酸化すると,分子内のカルボニル基の酸素原子による置換反応が進行してオキサゾリンが生成することを見出した。オキサゾリンは塩酸で処理するとβーアミノアルコ-ルを与える。出発セレニドとして光学活性なアセトアミド体(窒素原子と結合しているアルキル炭素が不斉)を用いると立体がほぼ完全に保持された光学活性なオキサゾリンひいてはβーアミノアルコ-ル(非天然型のもの)の合成に成功した。 アシルアミド基の代わりにトシルアミド基(NHTs)を有するセレニドで同様の酸化を行うと窒素原子による分子内攻撃が起こりアジリジンが生成することを見出した。同時に,γー位にトシルアミド基が存在する場合にも窒素攻撃が起こりアゼチジンが高収率で形成されることも見出した。 一方,アシルアミドをγー位に有するセレニドでは分子内酸素攻撃のみが起こりジヒドロオキサジンが生成するが,δー位にアシルアミドを有する場合には分子内窒素攻撃が起こりピロリジンのみが生成することを見出した。 以上見出したいずれも新しい置換反応の駆動力はセレンが高原子価,高配位子状態をとることによっている。また,セレニドの炭素鎖と窒素官能基をうまく組み合わせることにより種々のヘテロ環化合物を選択的に作り分けることに成功した。 以上の成果を第2回公開シンポジウムで発表し(平成2年12月,東京),さらに論文として発表する用意を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakae Uemura: "Synthetic Utility of MCPBA Oxidation of Alkyl Phenyl Selenides and Tellurides" Reviews on Heteroation Chemistry. 3. 105-120 (1990)
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[Publications] 植村 榮・大江 浩一: "増炭反応剤「PhSeCH_2Li」" 有機合成化学協会誌. 48. 974-975 (1990)
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[Publications] Akio Toshimitsu and Sakae Uemura: "Preparation of (R)ーβーAmino Alcohols by way of Amido selenation"
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[Publications] Sakae Uemura: "Comprehonsive Organic Synthesis Vol.6,Chap 2,Oxidation of Sulfur,Selenium and Tellnrium" Pergamun Press(イギリス), 31 (1991)