1990 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア設計過程における人間の思考モデルの研究
Project/Area Number |
02249201
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 元司 東京工業大学, 工学部・電気電子工学科, 助教授 (80162254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 健伸 東京工業大学, 工学部・情報工学科, 助手 (20197875)
米崎 直樹 東京工業大学, 工学部・情報工学科, 教授 (00126286)
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Keywords | ソフトウェアプロセス / 仕様化・設計法 / メンタルモデル / 認知プロセス / プロトコル解析 |
Research Abstract |
ソフトウェア設計過程の履歴を,ビデオやツ-ルを用いて記録し,それを分析するという実験的手法によって,人間の設計過程における思考活動に関して,以下のような成果を得た. 1.ビデオを用いた設計過程のモニタリングと分析手法の研究 被験者を2つのグル-プ(6人と5人)に分け,1つのグル-プには,自由な考え方で,思いつくままに,自然言語による仕様をそれぞれ作成してもらった.もう1つのグル-プは,得られた自然言語仕様(1つ選択した)から状態遷移図とデ-タフロ-図による形式仕様をそれぞれ作成してもらった.これらの作業過程をビデオに収録し,被験者の注目点の移動パタ-ンによって,各作業におけるPrimitiveな思考活動を表現した.さらに履歴中でよく見られたPrimitiveな思考活動の流れを抽出し,フロ-図で表現した.3種類(自然言語仕様作成,状態遷移図作成,デ-タフロ-図作成)のフロ-図を比較し,思考活動の流れに構造的な差異が見られることを確認した. 2.ツ-ルを用いたモニタリングと分析手法の研究 1で見られた作業の内,後戻り作業をより詳しく分析するために,操作がPrimitiveな思考活動に対応付けることができるような,ハイパ-テキストを基礎とするモニタリングツ-ルを作成した.4人の被験者に対し,作業履歴をとる実験を行ない,後戻り作業の抽出・分析を行なった.4つの後戻り作業パタ-ンがよく見られ,作業時間全体の6割以上の時間が後戻り作業に費やされていたことが判明した.また,実験結果より,このようなモニタリングツ-ルをベ-スとする仕様化・設計作業支援ツ-ルの検討を行なった.
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[Publications] 渡邊 智弘: "思考過程モデルに基づいたツ-ルを用いた仕様化作業の分析" 1990年度電子情報通信学会全国大会. 6. 6-43 (1990)
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[Publications] 佐伯 元司: "ソフトウェア設計の認知プロセス" International Software Process Symposium. 2-4 (1990)
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[Publications] Takenobu Tokunaga: "The Automatic Extraction of Conceptual Items from Bilingual Dictionaries" Proc.of the Pacific Rim International Conference on Artificial Intelligence 90. 304-309 (1990)
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[Publications] 佐伯 元司: "ソフトウェアの知的な開発へ向けてーこれまでの反省と今後の課題" 人工知能学会誌. 6ー2. (1991)
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[Publications] Naoki Yonezaki: "Conceptual Modeling in MSL" Advances in Information Modeling and Knowledge Bases. 124-140 (1991)
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[Publications] 海谷 治彦: "ソフトウェアの仕様化過程における協調作業の分析" 情報処理学会ソフトウェア工学研究会. 77. 19-24 (1991)