1990 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん性抗生物質によるDNA分子の微細構造の認識と修飾及び活性変動
Project/Area Number |
02250219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
駒野 徹 京都大学, 農学部, 教授 (30026413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 裕 京都大学, 農学部, 助教授 (60089117)
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Keywords | 活性作素 / DNA鎖切断 / アルカリ不安定部位 / 過酸化水素ー鉄イオン / 過酸化水素ー銅イオン / 遷移金属イオンの効果 |
Research Abstract |
DNAは部分的に高次構造をとっており、この高次構造部位をある種の抗がん性抗生物質は認識してDNA鎖切断を引き起す。このDNA鎖切断は微量の遷移金属イオン存在下で起ることから活性酸素によることが示唆されていた。そこで本研究では活性酸素生成系の基礎として過酸化水素と各種遷移金属により生成する酸素ラジカルがDNAに対してどのような修飾ないしは切断を与えるかを明らかにした。 過酸化水素のDNA損傷作用に及ぼす金属イオンの効果を、超ら線DNAを用いたアガロ-スゲル電気泳動法と未端標識DNA断片を用いたシ-ケンスゲル電気泳動法の2つの方法で検討した。過酸化水素は、鉄あるいは銅イオン存在下で、(1)DNA鎖切断、及び(2)熱ピペリジン処理に不安定(アルカリ不安定)な塩基修飾の、少なくとも2種類のDNA損傷を誘導した。損傷部位を詳細に解析し、損傷を引き起こす酸素ラシカルの種類を、ラジカル捕捉剤で調べたところ、H_2O_2/Fe(II)DNA損傷反応には生成するヒドロキシラジカル(OH^0)が関与していることが明らかとなった。一方H_2O_2/Cu(II)DNA損傷反応には、ヨウ化カリウムによって阻害される反応(タイプI)と、阻害されない反応(タイプII)が存在した。タイプIのDNA損傷反応のDNA塩基特異性は、銅イオン存在下における脂質過酸化物、あるいはアスコルビン酸による塩基損傷の特異性と類似しており、遊離のヒドキシラジカル以外の活性酸素がDNA鎖切断に関与していることが示唆された。 一連のDNA鎖切断反応,あるいは修飾反応は0X174RFIDNAを制限酵素で処理し、得られた178塩基対,及び275塩基対の長さのDNA断切の3'ー未端を ^<32>pで標識したもので、この基質はすべて塩基配列が明らかとなっている。
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Research Products
(1 results)