1990 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸関連生理活性化合物の合成を触媒する酵素の精密反応機構と機能変換
Project/Area Number |
02250220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯元 昇 京都大学, 理学部, 助手 (30200877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 康志 京都大学, 理学部, 助手 (40177697)
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Keywords | アスパルタ-ゼ / トリプトファナ-ゼ / 酵素反応機構 / 機能変換 / X線結晶構造解析 / 遺伝子操作 / 化学修飾 / ハイブリッド酵素 |
Research Abstract |
本研究では,アミノ酸代謝に重要な役割を担うオリゴマ-酵素であるアスパルタ-ゼとトリプトファナ-ゼを研究材料として用い,機能発現の精密分子機構の解明と新機能の付与を目的として研究を行い以下の結果を得た。 1.トリプトファナ-ゼの高次構造については全く不明であるため,X線結晶構造解析にむけての実験を行った。まず,本酵素遺伝子を含むプラスミドを本酵素欠損株Kー12MD55に導入し発現させたところ,細胞内可溶性全蛋白質のほぼ60%に相当する本酵素が得られた。この大量発現によって得られた本酵素を用いてその結晶化を試みた。蒸気拡散法によってホロ酵素,アポ酵素,アラニンとの複合体(それぞれ約0.6×0.6×0.5mm)の結晶が得られた。しかし,これらの結晶は分解能や結晶化の再現性などの点でX線結晶構造解析には不向きであった。そこで良質の結晶を再現性よく得るために補酵素とLーアラニンの複合体をリガンドに用いたアフィニティ-カラムを作成し,それにより高度に精製した本酵素を用いて蒸気拡散法等によって種々の条件を検討した。その結果,25℃,13%硫安で0.3×0.3×0.5mm程度の大きさの結晶が再現性よく得られた。この結晶はテトラゴナルで格子定数a=b=113,c=232A^^゚でP4_32_12またはP4_12_12の空間群に属し,分解能は3A^^゚程度であった。 2.オリゴマ-酵素の活性発現のために,すべてのサブユニットが活性を持つ必要があるのかどうかを明らかにするためにネイティブなサブユニットと失活サブユニットのハイブリッド化による解析を行った。同種サブユニット4個からなるアスパルタ-ゼは,可溶性状態でもゲル上でもネイティブなサブユニットとNーエチルマレイミドで本酵素の活性部位に存在するSH基の化学修飾を行って得た失活サブユニットの両者を含むハイブリッド酵素が生成し,四量体分子内に含まれるネイティブなサブユニットの数に比例した活性を持つことが判明した。
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[Publications] S.Tani: "Overproduction and crystallization of tryptophanase from recombinant cells of <Escherichia>___ー <coli>___ー." Biotechnol.Appl.Biochem.12. 28-33 (1990)
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[Publications] H.Imaishi: "Preparation of active hybrid enzymes composed of the native and chemically inactivated aspartase subunits from <Escherichia>___ー <coli>___ー." Biotechnol.Appl.Biochem.12. 196-205 (1990)
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[Publications] Y.Kawata: "Role of tryptophan 248 in the active site of tryptophanase from <Escherichia>___ー <coli>___ー." Biochem.Biophys.Res.Commun.173. 756-762 (1990)
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[Publications] Y.Kawata: "Structure and function of tryptophanase from <Escherichia>___ー <coli>___ー." Vitamin B6 and Carbonyl Catalysis.