1990 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピック系におけるバリスティック電子輸送の基礎理論
Project/Area Number |
02251206
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
川畑 有郷 学習院大学, 理学部, 教授 (80013514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真野 博央 学習院大学, 理学部, 助手 (40101597)
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Keywords | バリスティック / メゾスコピック |
Research Abstract |
メゾスコピック系における輸送現象,特に,狭いチャネルを通るバリスティックな電子の輸送に関する研究を行なった. 1.メゾスコピックシステムに於ける輸送現象の基礎理論に関し考察を行ない,以下のような結論を得た. バリスティックに限らず,メゾスコピック系の電気伝導の理論は,ほとんどの場合ランダウア-の公式を基にしているが,正確な意味でランダウア-の公式が適用できるためには,色々な隠された条件があり,公式が定量的に正しい結果を与えるためには,これらを満たしていなければならない. 試料の中で格子振動との非弾性散乱が起こってはならないらないの当然であるが,重要なのは,試料と電子溜め(リザ-バ-)との境界である.境界には電気二重相が存在し,ポテンシャルエネルギ-の差がある.この二重相の中でも非弾性散乱が起こらないことが重要である.逆に,電子溜めは,その中で必ず非弾性散乱が起こるように十分に大きい必要がある.このような条件の下では,各モ-ドの電子は完全にインコヒ-レントであり,観測される電流分布は,各モ-ドの電流の和となる.この条件の下で無ければ,実験で観測されているような,二つのピ-クをもつ電流分布は観測されない. 電子間の非弾性散乱の影響に関しては,いろいろと微妙な点があり,まだ結論はでていない. 2.狭いチャネルを通るバリスティックな電子のコンダクタンスの量子化を,現実的なモデルに関して数値的に議論し,コンダクタンス量子化の条件を明確にした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Kawabata: "Theory of Ballistic Transport through a ConstrictionーQuantization of Conductance" Journal of the Physical Society of Japan. 58. 372-375 (1989)
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[Publications] A.Kawabata: "Theory of Quantized Conductance in Ballistic Electron Transport through a Constriction" Proc.3rd Int.Symp.Foundations of Quantum Mechanics,Tokyo,1989,ed.S.Kobayashi and Y.Murayama. 1. 221-225 (1990)
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[Publications] A.Kawabata: "Anderson Transition in TwoーDimensional Systems with SpinーOrbit Coupling" Proc.Int.Workshop‘Anderson Transition and Mesoscopic Fluctuations'(Physica A). 167. 279-287 (1990)
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[Publications] 川畑 有郷(石原 明,和達 三樹編): "新しい物性(第三章)" 共立出版, 308 (1990)