1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02254218
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
溝口 正 学習院大学, 理学部, 教授 (30080443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川越 毅 学習院大学, 理学部, 助手 (00195067)
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Keywords | 原子拡散 / アモルファスCoZr合金 / 自由体積 / 組成変調膜 / 構造緩和 |
Research Abstract |
金属人工格子あるいは多層薄膜に対する関心が高まっている中で、このような原子配列構造の安定性に関する問題提起は重要と思われる。すなわち固体中においても原子の相互拡散によって組成の均一化が起こったり、場合によっては相分離が進行する可能性がある。一方、組成変調周期が数nmの多層薄膜のX線回折実験から組成変調振幅の時間変化を適当な温度領域で行なうことにより、原子の相互拡散に関して非常に高感度な測定が可能となる。多結晶薄膜においては粒界拡散が効き、試料依存性が強いので物質固有の拡散定数を求めるのはむずかしい。その点では粒界のない均一なアモルファス相の方が有利ともいえる。しかし一方でアモルファス固体ではその構造緩和が原子拡散に強く影響するので解析を困難にしていた。 我々はまずできるだけ詳しい実験デ-タを得るために、試料を高温でアニ-ルしながらin situでX線回折を行なうことができるように、Be窓を持つ高真空X線回折装置を作製した。組成変調薄膜試料は2つのタ-ゲットを交互にスパッタすることのできる3極スパッタ装置を用いて作製した。同一の試料を120℃、140℃、160℃、180℃の各温度で600〜900分間等温アニ-ルを行いながら、X線PSPCの計測デ-タを10分間隔でコンピュ-タにとりこみ、ディスクに落としていくことにより克明に回折強度の時間変化をとらえた。これらのデ-タをアモルファス固体に対するfree volume modelによって解析することを試み、構造緩和を伴う場合の原子拡散の解析に成功した。アモルファスCoーZrの場合、原子相互拡散の活性化エネルギ-としてQ_D=88.4±4.1kJ/mol、free volumeの消滅の活性化エネルギ-としてQ_2=37.7±9.6kJ/molを得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Mizoguchi and M.Murata: "Free Volume Dependent Atomic Diffusion in Compositionally Modulated Amorphous CoーZr Films" Japan.J.Appl.Phys.
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[Publications] T.Kawagoe and T.Mizoguchi: "Optical Properties of FexO_<1ーX> OxideーMetal Composite Films" Moris '91 Proceedings The Journal of Mag.Soc.of Jpn.