1990 Fiscal Year Annual Research Report
fccーbcc系の金属人工格子の生成とその界面構造
Project/Area Number |
02254219
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
後藤 芳彦 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (90005942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 博 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (40013742)
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Research Abstract |
積層構造をもつ金属人工格子を作るには,2種類の金属を交互に層状に成長させなければならない。そのためには,層間の界面の構造を知ることが必要である。我々はマイカ上に蒸着されたbcc/fccの2重金属蒸着膜を作り,その界面電子顕微鏡で調べることを目的とした。空気中でへき開されたマイカ上にAgを10^<ー6>Torrの真空中で約1000A^^°蒸着し,その直後Vを500A^^°の膜厚でAgに蒸着した。下地温度は200℃である。フッ酸中でマイカを溶解させ,V/Agの2重蒸着膜を得,電顕試料とした。下地マイカの表面上に,約200℃においてAg(111)面をもつ薄膜単結晶が得られた。Ag(111)表面上に膜厚500A^^°のVを蒸着すると,特殊なエピタキシャル方位関係をもつ電子回折図形が得られた。それは,Ag(111)面をもつ単結晶に対して,NishiyamaーWassermann方位関係〔lio〕Ag//〔ool〕vから,KurduumovーSachs方位関係〔lio〕Ag//〔lil〕vにわたった方位関係をもつ。その間の角度は5.26°であり,回折班点は連続的に分布している。また,電子顕微鏡像としてVの細長い形状をもつ微細構造が観察された。このことは,VがAg上でVolmerーWeber型成長様式(核成長)によって成長することを示している。さらに,2重蒸着膜の界面においてミスフィット転位が観察され,高倍率では,両結晶によるモワレ縞が観察された。以上のことから総合的に判断すると,VはAg(111)表面上で細かい結晶粒に分かれ,各々の結晶粒はNishiyamaーWassermannからKurdjumovーSachs方位の間に存在する一定のエピタキシャル方位関係をもつことが明らかにされた。人工格子の設計にあたっては,このような界面における結晶系的性質をよく理解することが重要と思われる。今後の予定として,V/Ag界面における格子像による研究,さらに,同様の研究をV/Pb系に拡張したいと思っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Gotoh: "Growth of Ag on an Mo(110) Surface by RHEED and SEM Observations" Journal of Crystal Growth. 99. 588-592 (1990)
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[Publications] 後藤 芳彦: "薄膜の界面構造" 日本金属学会会報. 29. 219-223 (1990)
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[Publications] H.Fukuda: "On Possible Preferred Orientation Relationship at bcc(110)/fcc(111) Interface" Thin Solid Films. 188. 193-202 (1990)
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[Publications] Y.Gotoh: "Calculation of the Interfacial Energy between fcc(111) Plane and Some bcc Lattice Plane" Materials Transactions,JIM. 31. 1013-1020 (1990)
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[Publications] Y.Gotoh: "Computer simulation of the Interfacial Energy between bcc/fcc Interface" Proceedings of Intern.Conf.on Computer Applications to Mater.Sci.and Engin.
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[Publications] H.Fukuda: "Supplement to a New Preferred Orientation Relation ship at the BCC(110)/FCC(111) Interface" Metallurgical Transactions.