1990 Fiscal Year Annual Research Report
ラット大脳皮質味覚ニュ-ロンの受容野構成と各種求心性入力の寄与
Project/Area Number |
02255220
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 尚 熊本大学, 医学部, 教授 (20040181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 佳代子 熊本大学, 医学部, 助手 (80136720)
羽山 富雄 熊本大学, 医学部, 講師 (50128302)
村山 伸樹 熊本大学, 工学部, 助教授 (60094108)
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Keywords | ラット / 大脳皮質 / 味覚 / 視床・皮質結合 / 連合線維 / グルタミン酸 / GABA / 多連微小電極 |
Research Abstract |
我々はこれまで、ラット大脳皮質味覚野は細胞構築学的に異なる2つの領野GI野とDI野から成り、多くの味覚ニュ-ロンは両側性受容野をもち、抑制応答を生じ四基本味に対して複雑な応答プロフィ-ルをもつことなどを明らかにしてきた。この大脳皮質味覚ニュ-ロンの複雑な特性を説明できる味覚入力に関する解剖学的研究と大脳皮質内での抑制機構についての生理学的研究を行った。HRPまたはWGAーHRPを大脳皮質GIおよびDI野に注入し、両野へ求心性入力を送る起源細胞を視床・脳幹で調べた。GI野はVPMpc外側部からDI野背側部はVPMpc内側部から入力をうけ、両者とも前頭無名質と結合腕周囲核から僅かではあるが入力をうけていた。大脳皮質間の連合線維は、それぞれ対側および同側の同名領野間にみれら、GI野とDI野間にはなかった。生理実験からVPMpc内側部、前頭無名質および結合腕周囲核にのみ味覚ニュ-ロンが認められているので、DI野への味覚入力は主にVPMpc内側部から入ってくるが、GI野への味覚入力は前頭無名質か結合腕周囲核を経て到達することが示唆された。一方、多連微小電極法により、ラット大脳皮質味覚野ニュ-ロンに対するグルタミン酸、GABAとビククリンの作用を調べた。GI野・DI野とも記録ニュ-ロン全体の約60%、味覚ニュ-ロンでも約60%がグルタミン酸に感受性があった。GABA感受性ニュ-ロンは、GI・DI両野で記録ニュ-ロン全体および味覚ニュ-ロン群の75%にみられた。大脳皮質味覚野でもグルタミン酸やGABAを伝達物質とする線維ないし介在ニュ-ロンが存在することを示している。ビククリン投与前後で多くのニュ-ロンで応答プロフィ-ルに変化がみられた。このことは大脳皮質における味覚情報処理に、GABAを伝達物質とする抑制性介在ニュ-ロンが関与していることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長谷川 佳代子(共著): "ラット大脳皮質味覚ニュ-ロンのグルタミン酸とGABAに対する感受性" 日本生理学雑誌. 53. (1991)
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[Publications] Ogawa,H.(共著): "Sensitivity to glutamate and GABA of neurons in cortical gustatory area in rats." Neuroscience Research. Suppl.(1991)
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[Publications] Hayama,T.(共著): Japanese Journal of Physiology. 41. (1991)