1990 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞特異的に発現するGタンパク質の転写制御機構
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02258205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水島 純子 (菅野 純子) 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80192756)
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Keywords | Gタンパク質 / シグナル伝達 / 神経細胞 / 遺伝子の転写制御 / プロモ-タ- |
Research Abstract |
Gタンパク質は、ホルモン、神経伝達物質等の細胞外のシグナルが受容体から増幅体(アデニル酸シクラ-ゼなど)へ伝達される際に、トランスデュ-サ-として機能する一群のGTP結合タンパク質である。我々の研究室では、Gilα、Goα、Gxαについては、そのmRNAが神経細胞特異的に発現していることを明らかにした。本研究では、Gilα、Goα、Gxαがなぜ神経細胞に特異的に発現されるのかという点を転写レベルで明らかにすることを目的としている。本年度は、特にGilαに注目し、まずヒトGilαの染色体遺伝子の転写開始部位が翻訳開始コドンATGの上流314塩基対の位置にあることを決定した。この遺伝子のプロモ-タ-の特徴は、TATA boxは含まず5つのGC boxをもつGC richな配列から成ることである。次に、プロモ-タ-の下流にCAT遺伝子を導入したプラスミドを構築し、プロモ-タ-に様々な欠失変異を導入したのち、ヒトの神経芽細胞腫であるSKーNーSH及びラットの褐色細胞腫であるPC12に導入した。ATGを+1としたとき、ー825からー655の間にはグルココルチコイドレスポンシブエレメント(GRE)及びoctamer配列(免疫グロブリン遺伝子のプロモ-タ-などに見出される配列)が存在するが、それぞれのエレメントがヒトGilα遺伝子のプロモ-タ-のpositive regulatorであることが示唆された。また、ー145からー301の間の2つのGC boxを含む塩基配列もプロモ-タ-活性に必須であった。一方、ラットのGilα染色体遺伝子の単離を行ないそのプロモ-タ-の塩基配列を決定したところ、ヒトの遺伝子と同様に5つのGC boxが存在していた。GRE及びoctamer配列は見出されなかったが、ヒトとラットのプロモ-タ-領域の塩基配列を相互に比較した結果、非常に似た塩基のクラスタ-が5ケ所に存在することが明らかとなった。今後は、ラットのGilαについてもそのプロモ-タ-解析を行なっていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)