1990 Fiscal Year Annual Research Report
POU転写調節因子群の同定及び細胞分化に於ける機能
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02258207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱田 博司 東京大学, 医学部, 助教授 (00208589)
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Keywords | 細胞分化 / 転写調節 / 神経発生 |
Research Abstract |
本研究では、マウス発生初期ー中期に注目し、時期特異的・部位特異的に発現されている新しいPOU転写調節因子を探索した。その結果5種類のPOU遺伝子を得たので、各々についてまづ遺伝子構造及び発現パタ-ンを調べた。 1)マウス12日胚RNAより作製したcDNAライブラリ-より、cns1ー4、及びembと名付けた計5種類のPOU遺伝子のcDNAを得た。そのうち2つはすでに報告のあったものだったが、残りは新しい遺伝子であった。3種類については、fullーlengthのcDNAを単離した。対応する染色体遺伝子も得て、構造解析をほぼ完了した。 2)cnslー4の4つの遺伝子は、たがいによく似たPOUドメインを持ち、ハウスゲノム中で一つのsubfamilyを形成する。いずれも受精後10日以降の胚で発現がみられ、生後は脳(一部は腎臓にも)発現が限局する。cnsー1の発現はとくに海馬に著明であった。このような発現パタ-ンより、cns1ー4は神経細胞の分化に関与していると期待される。レチノイン酸処理により神経細胞へ分化する胚性腫瘍細胞P19の系においては、cnsー1は分化誘導により発現が活性化される。この分化誘導に伴う発現活性化を担う転写調節領域を得た。 3)embは構造上全く新しいタイプのPOUドメインを持つ遺伝子であった。受精後10日位頃で発現が始まり、生後は比較的広汎な発現パタ-ンを示すが特に脳において強く発現される。in situ hybridizationにより、脳の中でも特に海馬のニュ-ロンに発現されている事が判った。alternative splicingにより少なくとも3種類のmRNAが存在するが、そのうち1つのみが転写活性化能を持つタンパク質をコ-ドしうる。またembの発現はOct3により負に制御されており、Oct3の支配下にある事が判った。
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Research Products
(1 results)