1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02259202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 健太郎 東京大学, 医学部, 助手 (60179116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 栄一 東京大学, 医学部, 医員
名富 仁美 東京大学, 医学部, 医員
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Keywords | 酸性糖脂質 / ガングリオシド / スルファチド / リン脂質 / 実験潰瘍 / 消化管 / 粘膜細胞 |
Research Abstract |
消化管粘膜を構成する細胞群の機能分化に応じた膜脂質構成の変化については既に報告しているが,種を越えて胃粘膜に硫糖脂質が富んでいること、これが酸加水分解に抵抗性であることから粘膜防御機構に関与している可能性を報告した。また粘膜障害に伴って膜構成脂質の変動が認められるか否かを検討し,リン脂質のうち特にPC(フォスファチジルコリン)の減少が着明であること,ガングリオシドの減少も有意であることなどを報告した。さらに外国性に投与じた硫糖脂質含有リポソ-ムがエタノ-ル・塩酸による実験潰瘍形成を有意に抑制することを見出した。このような動物実験に加え,ヒト消化管粘膜の系統的脂質分析を行い特に硫糖脂質については構造解析も行いその成果を現在論文として報告する予定である。さらに最近胃炎ならびに胃潰瘍の成因の一つとして注目されているHelicobacter pyloriが胃粘膜の酸性糖脂質を認識していることを見出し,平成3年度の日本消化器病学会に発表を予定している。このようなさまざまな成果に加え,酸性糖脂質の機能的意義を明らかにするため,酸分泌細胞である壁細胞においてその基本的反応機構をまず検討する必要から幾つかの基礎検討による実験結果を発表した。今后このような生理反応に対する酸性糖脂質の影響を調べていく予定である。また粘膜細胞の増殖や分化に対する酸性糖脂質の影響を調べる目的で種々の粘膜細胞の初代培養系の作成,株細胞の増殖動態の検討も開始している。
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[Publications] 吉田 行哉他: "家兎単離壁細胞に対するテトラゾリウム塩を用いた比色分析法(MTT assay)の意義" 日本消化器病学会雑誌. 87. 1263 (1990)
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[Publications] Natomi,H.<et>___ー <al>___ー: "Glycosphingolipid Composition of the gastric mucosa Arole of Sulfatides in gastrointestiral mucosal defence?" J.Clin.Gastroenterol.12. S52-S57 (1990)
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[Publications] 斉藤 栄一 他: "分離壁細胞に対する15(R)ー15ーMethyl prostaglandin E_2と15(S)ー15ーMethylprostag landin E_2の胃酸分泌抑制作用の検討" ペプシン研究会議事録. 40. 182-187 (1990)
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[Publications] 菅野 健太郎: "プロスタグランディンによる酸分泌抑制の細胞内機構" Progress in Medicine. 10. 2153-2160 (1990)
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[Publications] 名富 仁美 他: "胃粘膜構成脂質に対する潰瘍形成の影響" 実験潰瘍. 17. 129-133 (1990)
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[Publications] Mutsukawa,H.<et>___ー <al>___ー: "Sodium fluoride activates beterogenous guanine nucleotide binding proteins in rabbit parietal cells" Ionic Basis and Energy Metabolism of Epifhelial Transport. 149-150 (1991)