1990 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成・維持・再成におけるガングリオシドの役割
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02259217
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
黒田 洋一郎 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 副参事研究員 (30073084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和夫 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (80100139)
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Keywords | シナプス形成 / ガクグリオシド / カルシウム / 培養ニュ-ロン / 大脳皮質 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1.培養中枢ニュ-ロン間形成・維持の定量的解析法の開発と確立 <電顕による培養大脳皮ニュ-ロン間に形成されたシナプスの観察の計測.>___ー 培養開始後7日の大脳皮質ニュ-ロン系はすでに報告したように、多数のニュ-ロンが同期した細胞内Ca^<2+>濃度の変動を示した。この系を固定包埋し、電顕で観察すると、シナプス構造が多数認められ、1サンプル当りの観察視野数を多くして平均値をとることにより、定量化することができた。 なおニュ-ロン内Ca^<2+>変動の同期を指標としたアッセイと、電顕観察による形成されたシナプスの実数の測定値との間に見られる正の相関(r=0.90)はより一般にも見られ、機能アッセイ系によりシナプス形成の解析が簡便に行えることが明らかになった。この系により培養系におけるシナプス形成・維持の分子メカニズムについて広範な情報が得られ、脳内シナプス結合の可能性ばかりでな、アルツハイマ-病など脳の老化関連神経疾患の治療法や予防法の開発にも役立つことが期待できる。 2.ガングリオシド類の培養大脳皮質ニュ-ロン間シナプス形成に対する影響 長期投与したガングリオシド混合物は用量依存的にシナプス形成の指標である細胞内Ca変動の平均振動数を減少させた。ことに培養後9日目のアッセイでは、約30μg/ml以上の濃度で、シナプス形成はほぼ完全に抑制された。培養後8日目、7日目のアッセイでは、用いたガングリオシド混合物の効果は9日目に比してより小さかった。より低い濃度ではシナプス形成の促進を示す場合もあった。ガングリオシド混合物がこのシナプス形成系でなんらかの作用をもつことが明きらかになった。今後、精製された単独のガングリオシドをそれぞれ別個にアッセイし、ガングリオシドの効果をさらに詳しく検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 黒田 洋一郎: "ATP.アデノシン受容体と記憶シスプスの可塑性" 蛋白質核酸酵素. 35. 757-767 (1990)
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[Publications] 黒田 洋一郎: "アデノシン,ATPレセプタ-" Clin.Neurosci. 8. 34-35 (1990)
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[Publications] 黒田 洋一郎.市川 真澄.村本 和世.川原 正博.小林 和夫.小倉 明彦.工藤 佳久: "培養大脳皮質・海馬ニュ-ロン間シナプス形成の機能アッセイおよび電顕による定量的解析ーーーATPの影響" 神経化学. 29. 196-197 (1990)
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[Publications] 黒田 洋一郎: "モノクロ-ナル抗体の利用" 「神経生化学」(新生化学実験構座11 日本生化学会編 東京化学同人). 104-105 (1990)