1990 Fiscal Year Annual Research Report
新しい遺伝子導入法を応用したヒト染色体の安定化に必要なDNA構造の研究
Project/Area Number |
02260205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 真人 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10172355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 安史 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10177537)
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Keywords | ヒト染色体 / 人工染色体 / 遺伝子導入 / センダイウイルス(HVT) / リポソ-ム / 膜融合 / 遺伝子安定化 |
Research Abstract |
今年度はまずリポソ-ム・HVJ法を使った遺伝子導入法を改良し、リポソ-ム内に封入したDNAを動物組織細胞の核内へ効率よく導入し発現させることに成功した。この過程でリポソ-ム・HVJ複合体の精製など種々の工夫を行なって、少なく見積って5×10^5/m1という高い導入効率を得ることができた(Kato.K.Nakanisi,M et al.JBC in press)。また数100Kbもの巨大なDNAをこの方法で導入するためにリポソ-ム作成法を改良し、最小限の機械的振動で赤血球大の巨大なリポソ-ムを作ってそのなかにDNAを高い効率で封入できることを明らかにした。またこのリポソ-ムを使って実際に細胞にDNAを導入できることはホタル・ルシフェラ-ゼ遺伝子で確認できた。 次に直鎖状のDNAが培養動物細胞の核内で安定に存在するために必要な一次構造のうち、両末端のテロメア以外に必要なセントロメアを含む未知の構造を培養細胞を使って機能的にクロ-ニンズするために、pMYAC1、pMYAC2の2つのベクタ-を作成した。これらのベクタ-は動物細胞で働く選択マ-カ-としてハイグロマイシン耐性とブラストサイジン耐性を、またクロ-ニングしたDNAが出茅酵母で安定に人工染色体として存在できるようにTRP1・ATR・CEN4およびURA3遺伝子をそれぞれ含み、さらに制限酵素で切断して直鎖状にするとヒトのテロメア配列が末端にくるように工夫してある。現在、このベクタ-をBclIやEcoRIで切断したヒト細胞のDNA断片とアガロ-ス中で結合したあと、リポソ-ムに封入して動物細胞に導入し、2つの薬剤にたいし同時に耐性になる細胞を選択して、そのなかに直鎖状で安定なDNA構造を持つものがあるかどうかを検討中である。
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[Publications] Kato,K.,Nakanishi,M.,Kaneda,Y.,Uchida,T.and Okada,Y.: "Expression of Hepatitis B Virus Surface Antigen in Adult Rat Liver" The Jounal of Biological Chemistry. 266. (1991)
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[Publications] 中西 真人.他(共著): "先端の医生物学とバイオサイエンス" 中山書店, 479 (1990)