1990 Fiscal Year Annual Research Report
核骨格と核骨格付着領域DNAの相互作用から見た染色体構造
Project/Area Number |
02260208
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
筒井 研 岡山大学, 医学部, 助教授 (70108158)
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Keywords | 核骨格 / 染色体 / DNA結合タンパク質 / DNAトポイソメラ-ゼII |
Research Abstract |
核骨格付着領域DNA(SAR)と核骨格の結合にはSARを認識する核骨格蛋白質の関与が予測されるため、DNA結合活性を指標にこの蛋白質の同定を試みた。マウスIgκ遺伝子のSARをプロ-ブとしたサウスウェスタン法により、SARを特異的に結合する分子量120Kの核骨格蛋白質を見いだした。核骨格から可溶化した120K蛋白質とフィルタ-結合法を用いて、120K蛋白質が結合するDNA配列がIgκ遺伝子内のSARとして同定された365bpの領域内に存在することを証明した。さらに、この領域の一部をPCRで増幅して得たDNA断片(213bp)、およびfushi tarazu遺伝子のSAR(“upstream element"内の658bp)とも120K蛋白質は特異的に結合した。SARと120K蛋白質の結合に対してpoly(dG.dC)は全く影響を示さないがpoly(cA.dT)は強く競し、一般にSARがA/Tに富む領域であるという事実をよく反映していた。 SARと120K蛋白質の相互作用をさらに詳細に解析するため、120K蛋白質のcDNAクロ-ニングを試みた。核マトリックスから精製した120K蛋白質をCNBrで限定的に断片化し、得られた8個のペプチドのN末端アミノ酸配列を決定した。これに基づき両方向に計10個の混合オリゴヌクレオチド・プライマ-を合成し、すべての可能なプライマ-対についてラット脳の全RNAを鋳型としたRTーPCRを行った。反応産物をクロ-ニングし、930bpのcDNA断片が挿入されたクロ-ンを得た。塩基配列を決定したところ、終止コ-ドを含まない310個のアミノ酸配列に翻訳され、内部には既知のペプチド配列が現れていることから真のクロ-ンであると断定した。得られた配列を入手可能なデ-タベ-スで検索した限りでは該当する蛋白質は存在しなかったが、一部の領域はpolynucleotide kinaseと弱いホモロジ-を示した。
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[Publications] 筒井 公子: "ラット脳の超らせんDNA結合タンパク質" 神経化学. 29. 320-321 (1990)
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[Publications] Shuji Seki: "Repair of Xーrayーinduced singleーstrand breaks by a cellーfree system" Carcinogenesis. 11. 1213-1216 (1990)
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[Publications] Shogo Ikeda: "Detestion of possible DNA repair enzymes on sodium dodecyl sulfateーpolyacrylamide gels by protein blotting to damaged DNAーfixed membranes" Amalytieal Biochemistry. 192. 96-103 (1991)