1990 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類細胞染色体のDNA複製機能領域の同定と構造解析
Project/Area Number |
02260215
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
中村 普武 愛知県がんセンター, 研究所・分子生物学研究室, 室長 (30109938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中洲 章 愛知県がんセンター, 研究所・分子生物学研究室, 研究員 (50198107)
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Keywords | DNA複製 / 複製開始点 / 細胞同調 |
Research Abstract |
本研究では我々が最近開発したDNA複製の高精度同調培養法を用いて、ラット培養細胞のS期の最初に複製される複製単位群からそれらの複製開始部位を含むDNA領域を取り出し、クロ-ン化する。得られたクロ-ンとこの同調法を用いて染色体DNA上で実際に機能している複製開始部位を直接同定する事を目指している。ラット培養細胞(NRK)を、複製開始時に同調し、ブロモデオキシウリジンで複製開始部位を含む短い新生DNA鎖を密度標識した。通常のDNA精製法では複製中間体構造が壊れてしまった。そこで細胞を塩酸グアニジン・EDTA・ザルコシルで溶かし、プロテイナ-ゼK処理後、塩化セシウム平衡密度勾配遠心する方法を開発し、複製中間体の構造を保持したDNAを抽出精製した。BamH1またはHind IIIで切断後、5回の平衡密度勾配遠心法でHL鎖を分離精製した。この精製断片をシングルコピ-・ベクタ-(ミニFプラスミド・ベクタ-)とメチル化DNAも効率よくクロ-ニングできるホスト細胞(DH10B)を用いてクロ-ン化した。同調化した細胞のDNAを同様に密度標識し、HL鎖を分画し、これとクロ-ン化DNA上のユニ-クな断片をプロ-ブにしたサザン・ハイブリダイゼ-ションにより、S期の最初に複製している複製単位に由来していることを確認できたクロ-ンを2個得た。しかし、この方法ではもともと密度の高い(GC含量の高い)DNA断片の混入が多く目的のクロ-ンを得る確立が低かった。これを避けるために、複製した領域の両端にある複製フォ-クの単鎖DNA部分をマング・ビ-ン・ヌクレア-ゼで切断し、HL鎖を分離精製してから制限酵素で切断してクロ-ン化した。S期の最初に複製している複製単位に由来していることを確認できたクロ-ンを、現在までにさらに3個得ている。今後さらにクロ-ンの数を増やし、それらについてジェノミック・ウオ-キングによりその複製開始部位を細胞の同調化法と組み合わせる事によって直接同定する予定である。
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