1990 Fiscal Year Annual Research Report
生体の情報処理過程とその障害に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
02301013
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤澤 清 福井大学, 教育学部, 教授 (50020087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 美典 福井大学, 教育学部, 助教授 (20157556)
中村 圭佐 福井大学, 教育学部, 教授 (50020128)
吉田 茂 筑波大学, 心理学系, 講師 (40133045)
岩崎 庸男 筑波大学, 心理学系, 教授 (70092509)
金子 隆芳 筑波大学, 心理学系, 教授 (40015417)
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Keywords | 視知覚 / 学習 / 生体リズム / 睡眠 / 脳波 / 薬物効果 / 心身障害児 / 動物モデル |
Research Abstract |
本研究は、認知・学習・意識という生体の基本的情報処理過程の行動的・生理的特性とその障害機構について、ヒト及び動物を対象に最新の分析手法を用いて総合的に研究することを目的とした。本年度は3ヶ年計画の初年度であるため、3つのグル-プを結成して個別に推進した。 1.知覚・認知過程とその障害に関する検討:障害児・者の知覚情報処理過程のモデル構築を目指して、健常成人を対象とした基礎的実験研究を行った。このため、視覚情報処理を中心に、種々の刺激に対する脳波・誘発電位等の生理的側面と知覚判断等の行動的側面を検討した結果、眼球運動等の外界刺激への能動的な関わりが知覚・認知に重要なことが明かとなり、障害児・者の認知機能を検討する際は、運動出力系との相互作用を考慮する必要のあることが示唆された。 2.学習・記憶過程とその障害に関する検討:学習形成過程における障害児・者の特性とその機序を探るため、動物を対象とした基礎実験を行った。このため、種々の動物モデルを作成し、学習過程や発声過程でのニュ-ロン活動を分析するとともに、薬理学的検討を行った結果、障害モデル動物における学習行動の遅延・不全と、これと対応した海馬等の特異的なニュ-ロン活動や薬理効果の存在が明かとなり、障害の脳内神経機構・化学的機構に関するモデル構築に有効な情報が得られた。 3.意識現象とその障害に関する検討:意識現象(睡眠ー覚醒、注意ー無視)とその変動性(リズム)に関する基本的過程と障害特性を把握することを目指した。このため、健常児・者と障害児・者における睡眠ー覚醒状態での多部位導出脳波と事象関連電位の特性を検討するとともに、障害モデル動物の活動リズムを検討した結果、障害児・者や障害モデル動物における脳波や活動性に関するリズムの異常が明かとなり、障害児・者における意識水準の検討が重要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 三橋 美典・中村 圭佐・藤澤 清: "知能障害児における図形弁別課題時の事象関連電位ーフィ-ドバック条件下の学習性変動過程ー" 福井大学教育学部紀要. 41. 45-68 (1991)
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[Publications] 松田 美和・中村 圭佐・三橋 美典・藤澤 清: "統計パッケ-ジSASによる生体リズム解析法の検討" 福井大学教育学部紀要. 41. 69-77 (1991)
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[Publications] 吉田 茂: "オン・オフ視覚誘発電位の二元過程モデル" 心理学研究. 61. 322-328 (1990)