1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301021
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
江原 由美子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20128565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 志郎 神戸大学, 法学部, 教授 (40114433)
椎野 信雄 東京都立大学, 人文学部, 助手 (50206041)
坂本 佳鶴恵 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (60201521)
西阪 仰 明治学院大学, 社会学部, 専任講師 (80208173)
藤村 正之 武蔵大学, 人文学部, 専任講師 (00190067)
山崎 敬一 埼玉大学, 教養部, 助教授 (80191261)
山田 富秋 県立山口女子大学, 文学部, 助教授 (30166722)
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Keywords | 会話分析 / 制度的場面 / ビジュアル・デ-タ / 順番取りシステム / トピック支配 |
Research Abstract |
昨年度は初年度であったために、主として文献研究と研究計画の決定のための研究会を中心に活動した。(一部はデ-タ収集も行った。)本年度は昨年度決定されたいくつかの研究計画に基き、各研究分担者が、それぞれ本調査を行った。まず、福祉施設における対面的相互行為状況を分析するために、福祉施設(社会精神薄弱者受産施設)において参与観察を行い、予備調査、本調査を含め前後3週間の調査を遂行した。同時に、オ-ディオテ-プ、ビデオテ-プによる録音、録画デ-タを収集した。そのデ-タに基き、トランスクリプトを作成した。そこにおいて、福祉施設における「職員性」を維持する会話装置を定式化するためのいくつかの緒因を見出した。第二に、セラピ-場面における相互行為状況を分析するために、「箱庭療法」によるセラピ-場面のデ-タ収集(録音・録画)を行った。またそのデ-タにもとづきトランスクリプトを作成した。そこにおいて、セラピ-場面を成立させている、いくつかの動作的・視線的・会話的装置を定式化するためのいくつかの緒因を得た。また、討論の場における対面的相互行為、会話的相互行為状況を分析するために、実験的調査を実施した。すなわち、学生を被験者とし、テ-マを与えて討議させそれを録音、録画しトランスクリプトを作成した。また学生自身にそのトランスクリプトにもとづいて討議を成立させている動作的・会話的装置は何であるかを分析させた。ここにおいて、討議という場を成立させている会話的装置を定式化する緒因を得た。これらの各分担者による知見を、デ-タとともに研究会において討議し、共有することがはかられた。研究会においては各制度的場面特有の会話的装置の存在についての議論と同時に、普遍的な会話的相互行為的規則の存在に関する議論が行なわれた。来年度はデ-タの再分析とともに、これらの知見のまとめを行う予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 西阪 仰,好井 裕明 編: "エスノメソドロジ-は、どういうわけで会話分析をおこなうようになったか" 『エスノメソドロジ-の現実ーせめぎあう〈生〉と〈常〉』. 23-45 (1992)
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[Publications] 山田 富秋,好井 裕明 編: "精神医療批判のエスノメソドロジ-" 『エスノメソドロジ-の現実ーせめぎあう〈生〉と〈常〉』. 70-87 (1992)
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[Publications] 樫村 志郎,木下 冨雄,棚瀬 孝雄編: "交渉と和解" 『法の行動科学』. 238-260 (1991)
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[Publications] 樫村 志郎: "労働仲裁の社会学的秩序" 三ケ月章先生古希祝賀論文集・民事手続法学の革新(上). 649-680 (1991)
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[Publications] 樫村 志郎,好井 裕明編: "法律的探求の社会組織" 『エスノメソドロジ-の現実ーせめぎあう〈生〉と〈常〉』. 88-110 (1992)
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[Publications] 江原 由美子,好井 裕明編: "セクシュアル・ハラスメントのエスノメソドロジ-ー週刊誌にみる『解釈の政治学』" 『エスノメソドロジ-の現実ーせめぎあう〈生〉と〈常〉』. 111-133 (1992)
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[Publications] 江原 由美子: "『社会的権力』の理論化はいかにして可能なのか?ー『文化主義批判』論争再考" 現代思想. 20ー1. 90-102 (1992)
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[Publications] 坂本 佳鶴恵,吉田 民人編: "家族らしさーなぜ家庭内離婚は「離婚」なのか" 『社会学の理論でとく現代のしくみ. 20-39 (1991)
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[Publications] 坂本 佳鶴恵: "映画にみる戦後日本の家族像" 日本女子大学紀要第2号. 239-250 (1992)
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[Publications] 椎野 信雄,安川 一編著: "ドラマトゥルギィから相互行為秩序へ" 『ゴフマン世界の再構成ー共在の技法と秩序』. 33-64 (1991)
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[Publications] 椎野 信雄: "E.ゴフマンの『相互行為秩序』を読む(第一部)その一." 人文学報No.232(社会学27)東京都立大学人文学部. 105-123 (1992)
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[Publications] 山崎 敬一,西原 和久編著: "主体主義の彼方にーメスノメソドロジ-とは何か" 『現象学的社会学の展開ーA.シュッツ継承へ向けて』. 214-252 (1991)
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[Publications] 山田 富秋,好井 裕明: "排除と差別のメスノメソドロジ-ー[いまーここ]の権力作用を朗読する" 新曜社, 309 (1991)