1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301052
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今永 清二 広島大学, 文学部, 教授 (60033502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 明 大阪市立大学, 文学部, 教授 (20078455)
田中 仁 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60171790)
曽田 三郎 広島大学, 文学部, 助教授 (40106779)
寺地 遵 広島大学, 文学部, 教授 (60033487)
伊原 弘介 静岡大学, 教養部, 教授 (60022109)
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Keywords | 地域自治 / 中央権力 / 地方自治政策 / 村落 / 日本植民地支配 / イスラム改革運動 / イスラム政策 |
Research Abstract |
本研究はアジアの地域社会において、様々な分野及びレベルで展開されてきた自主性・自律性を求める活動を「地域自治」と規定し、中央権力との関係を重視しつつ、その実態を明らかにしようとしたものである。そのため前近代中国・近代中国・東アジア、東南アジアの四研究班を組織し、研究会の開催などにより「地域自治」について多面的に考察した。 前近代中国班では、地域の自主性・自律性の追求が産業経済、都市発達史、村落組織、水利機構などの各分野にわたって、実証的かつ理論的に行われた。また郷紳層による地域自治論などの究明を通して、「地域自治」と国家権力との関係の諸相が明らかにされた。近代中国班では、国家の諸政策、例えば地方自治政策などの検討を通して、地域社会の自主性の解明が行われ、併せて孫文らの地域自治論・自治構想、中国共産党の根拠地構想の究明も進んだ。また地方有力者の農村支配の諸相なども明らかにされた。東アジア班では、台湾・朝鮮における「地域自治」の歴史的過程が、清朝統治及び日本植民地支配との関係において明らかにされた。東南アジア班ではこの地域の社会的基本的単位である村落の実態の究明が行われ、また「地域自治」における宗教社会の役割がイスラム改革運動や国家のイスラム政策の面から検討された。なお東南アジアからの帰国華僑の様態、及び彼らに対する調整期中国政府の同化政策も究明された。 以上の諸研究を通して、(1)国政から社会に及ぶ様々なレベルにおける「地域自治」に関する主要な問題点が提示され、(2)研究分担者は各自の専門領域で「地域自治」の研究を進めることによって、その実態及び諸形態を明らかにすることができた。なお、「地域自治」の問題は、本研究において取り扱うことができなかった他の分野及びレベルにわたり解明される必要のあることも確認された。
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[Publications] 今永 清二: "トンブリのシ-ア派イスラム社会形成の関する一考察" 『史学論叢』. 2号. 1-32 (1992)
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[Publications] 寺地 遵: "日本における宋代史研究の基調" 『中国史学』. 第1巻. 191-210 (1991)
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[Publications] 小尾 孟夫: "南斉における『征討都督』" 『広島大学学校教育学部紀要』. 第2部第13巻. 115-122 (1991)
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[Publications] 曽田 三郎: "清末における「商戦」論の展開と商務局の設置" 『アジア研究』. 第38巻1号. 47-78 (1991)
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[Publications] 原田 環: "回顧と展望(朝鮮・三)" 『史学雑誌』. 第100編5号. 259-264 (1991)
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[Publications] 植村 泰夫: "恐慌とリンギンアノム糖業" 『史学研究』. 195号. 23-48 (1992)