1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02301054
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
城戸 毅 東京大学, 文学部, 教授 (40011324)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 由紀夫 玉川大学, 文学部, 講師 (30193056)
網野 徹哉 フェリス女学院大学, 国際文化学科, 講師
森田 安一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10033177)
伊藤 貞夫 東京大学, 文学部, 教授 (20011322)
西川 正雄 東京大学, 教養学部, 教授 (10012353)
|
Keywords | ヨ-ロッパ / EC / 南北問題 / 西洋 / 地域史研究 / 地域主義 / 古典文化 / 世界史 |
Research Abstract |
平成3年度における研究計画はほぼ予定通り進行した。各研究分担者、及び研究分科会における個別の史料分析と討論を積み重ね、前年度に引き続いて各人の分担課題に基づく個別的研究が行われた。 これら個別的研究課題の進展の成果をふまえて、7月、全体会が開かれ、研究分担者それぞれの立場から、率直な意見の交換が行われた。その際統一的な申し合わせ事項として取り決められたのは、「北と南」という課題を、たとえば、いわゆる南北問題というように狭い意味の概念に限る事なく、「ある一つの地域の内部における不均等発展」という広い意味で捉え、国家の枠にとらわれる事なく、地域研究としての広がりをもたせる事に意見が一致した。 この申し合わせにしたがって、各人が研究成果を原稿の形で作成し、研究成果報告書の作成に当たった。まず、研究代表者(城戸)および森田・相沢・甚野・河原の各研究分担者は、ヨ-ロッパのアルプス以北の地域において、いかなる不均等発展が起こったのか、という問題に焦点を絞った。森田はスイス、相沢は中世ドイツを対象としてそれぞれの地亦における地域主義と国家主義との相克の諸相を浮き彫りにした。また甚野は思想史の面からアプロ-チを行い、また河原は、貧民救済という一種の南北問題に起因する現象が、すでに中世ヨ-ロッパに存在した事を明らかにした。またアルプス以南では島田と橋場が、それぞれ古代ロ-マとアテネとを対象として、南欧型の都市とそこにおける政治形態の特質とを論じた。また安村は、はるかにグロ-バルな視点から、プロテスタンティズムを「北」、カトリックを「南」と捉え、中南米へのヨ-ロッパの拡大は、この「南」の拡大にほかならないとした。これらの意見を総合して研究成果報告書が編集された。
|
-
[Publications] 伊藤 貞夫: "1980年代の古代ギリシア家族研究" 史学雑誌. 100ー4. 55-84 (1991)
-
[Publications] 甚野 尚志: "歴史の「科学」から歴史の「詩学」へ" 季刊 アステイオン. 22. 108-121 (1991)
-
[Publications] 河原 温: "中世都市の子供観‐フランドル都市ヘントの孤児後見制度を中心に" 都市と共同体(比較都市史研究会 編). 1. 1-30 (1991)
-
[Publications] 橋場 弦: "古典期アテナイにおける罪と法ー弾刻法(ノモス・エイサンゲルティコス)の性格をめぐってー" 歴史学研究. 629. 1-14 (1992)
-
[Publications] 安村 直己: "スペイン王室とインディオ共同体ー十八世紀ミチョアカンの事例に即してー" 紀要〈東京大学教養学科〉. 24. (1992)
-
[Publications] 森田 安一: "スイス中世都市史研究" 山川出版社, 368 (1991)
-
[Publications] 城戸 毅: "世界歴史大系イギリス史1 先史・中世(6・10・11章)" 山川出版社, 599 (1991)