1992 Fiscal Year Annual Research Report
認知意味論の立場からの英語基礎語彙の意味分析(日本語及び独仏語との比較対照を含めて)
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02301064
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
池上 嘉彦 東京大学, 教養学部, 教授 (90012327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 三明 成蹊大学, 文学部, 教授 (60054392)
唐須 教光 慶応大学, 文学部, 教授 (50102017)
山梨 正明 京都大学, 助教授 (80107086)
山中 桂一 東京大学, 教養学部, 教授 (20056055)
河上 誓作 大阪大学, 文学部, 教授 (20038467)
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Keywords | 認知 / 意味 / 意味論 / 恣意性 / 類像性 / プロトタイプ / 推論 / 感覚動詞 |
Research Abstract |
新しい高度に学際的な研究である「認知意味論」の性格を十分に認識し、その上に立ってその理論的基盤の検討と確認、それに基く具体的、実証的なデータ分析を通じての理論の有効性の検証と確認、という両面での研究を継続して行なった。研究の中核となったのは前年度からに続き「認知言語学研究会」で、休暇中を除き、首都圏ではほぼ毎月、関西地区ではほぼ隔月に開催され、毎日提題者の発表をめぐって活溌な討論が行なわれた。本年度は特に、この分野での研究で指導的な役割を果たしているR.Langacker教授を日本に迎えることができ、7月に東京では慶応大学で講演会、関西では神戸大学で4日間のセミナーおよびシンポジウムが開催され、この分野での新しい発展をめぐって有意義な意見交換ができたが、いずれの折にもこの研究グループのメンバーが中心的な役割を果たした。また、11月の日本英語学会年次大会では、このグループのメンバー3名に国語学者をも加えて「文法と意味の接点」という題でのシンポジウムを行なった。さらに、この分野の研究に大きな影響を与えたG.Lakoffの著者(1987)の日本語訳がこれも本研究グループのメンバーが中心となって『認知意味論』という標題で800ページに余る大著として93年初めに刊行を見た。個々の研究者の活動は多岐にわたり、従来の言語学における言語の「恣意性」の概念、音形文法における文法の「自立性」,「生得性」といった概念についてその一方的な偏りが説得的に指摘された一方、「動作主性」の概念のプロトタイプ構造、従来殆んで注目されなかった「感覚動詞」のスキーマ性、さらにテクストのレベルの照応関係の成立において認知的な営みの果たす重要な役割、といった事項に関して重要な貢献となる研究成果が発表された。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 池上 嘉彦: "日本語と日本語論-その虚像と実像(1)〜(7)" 言語. 21-9. 6 (1992)
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[Publications] 池上 嘉彦: "日本語と日本語論-その虚像と実像(1)〜(7)" 言語. 22-3. 6 (1993)
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[Publications] Yoshihiko Ikegami: "What does It Mean for a Language to Have No Singular-Plural Distinction?" Conceptualizations and Mental Processing in Language (John Benjamins,Amsterdam). (1993)
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[Publications] Yoshihiko Ikegami: "Language and Languages in the 20th Century" Aspects of English as a World Language (Maruzen,Tokyo). (1993)
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[Publications] 池上 嘉彦: "〈有情の被動者としての人間〉の文法" Sophia Linguistica. 33. (1993)
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[Publications] 河上 誓作: "ニックネイムの言語学" 成田義光教授還暦祝賀論文集(英宝社). 441-451 (1992)
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[Publications] 米山 三明: "概念意味論" 言語. 21-12. 62-68 (1992)
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[Publications] Mitsuaki Yoneyama: "Reciprocal Rule and Feature Incompatibility" 成蹊人文研究. 1. 33-41 (1993)
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[Publications] Keiichi Yamanaka: "A Cat has Nine Names:A Semiotic Approach to Poe's 'The Black Cat'" Studies in Poetics (Shambalpur Univ.,Orissa). 80-104
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[Publications] 大堀 俊夫: "言語記号の類像性再考" 記号学研究. 12. 87-96 (1992)
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[Publications] 大堀 俊夫: "イメージの言語学" 言語. 21-10. 34-41 (1992)
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[Publications] Toshio Ohori: "Poetics of Language and Culture:Yoshihiko Ikegami's Semiotic Investigations" Scripta Semiotica. 1. 77-90 (1992)
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[Publications] 辻 幸夫(共著者:西村 義樹): "認知言語学の考え方について" 言語. 22-4. 76-82 (1993)
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[Publications] 辻 幸夫: "領域固有と領域中立をめぐって" 教養論叢(慶応義塾大学). 94. (1993)
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[Publications] Yoshiki Nishimura: "Agentivity and Cognitive Grammar" Conceptualizations and Mental Processing in Language (John Benjamins,Amsterdam). (1993)
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[Publications] Yoshiki Nishimura: "Remarks on the Autonomy Thesis" Proceedings of the Department of Forein Languages and Literatures (Tokyo Univ.). 33. (1993)
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[Publications] 宮島 達夫: "日本語・ドイツ語の外来語" 計量国語学. 18-6. 263-387 (1992)
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[Publications] 在間 進: "ドイツ語の様態規定をもつ統語構造" 独・仏・露仏語動詞の統辞・意味論的分析(東京外国語大学). 50-90 (1992)
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[Publications] 山梨 正明: "推論と照応" くろしお出版, VII+164 (192)
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[Publications] 在間 進: "詳細ドイツ語文法" 大修館書店, XI+342 (1992)